開幕5連敗を喫したロッテが、引き分け2つを挟み4連勝と波に乗ってきた。7回に安田尚憲内野手(21)らがチームタイ記録となる1イニング3本塁打をマークするなど、9-2で大勝し、借金も1まで減らした。61得点は7日終了時点で12球団トップだ。チーム打率は12球団ワーストを記録した昨季と大差ないが、何かが違う予感を漂わせながら、不気味なロッテであり続ける。

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安田はどうしても、バックスクリーンの表示が気になってしまう。2割に届かない自分の打率。「すごく見えました。正直、内心バクバクというところもありますが、できるだけ消極的にならないように」。7回1死。2番マーティンが貴重なソロを放ち、さらに走者二塁。低く伸びていく、安田らしい弾道を右翼席中段まで運んだ。

思わず「よしっ!」と声に出る。初回の先制適時打でも塁上で笑顔が出た。「ネガティブな気持ちは置いて、前向きに」。悩み抜いたフォームをクローズド気味に。タイミングも少しゆっくり取る。8回にも右翼線二塁打を打ち、明日につなげた。昨季は4番にふさわしい結果を残せなかった。「ああいうつらい経験をしている分、経験がいい方向に出ているのかなと」。打率はリーグ30位の1割9分5厘、打点は同1位の14打点。アンバランスだが魅力が出始めた。

開幕から11試合連続で4番三塁で出場する。チームとして打力不足に泣いた昨季は、相性や調子を見極めながら120試合で102通りのオーダーが組まれた。今季はこの日のオーダーですでに5試合をこなし、4勝1分け。指揮官も「ある程度、固定できるメンバーになってきたかなっていうのはあります」と手ごたえを感じている。

今年も軸は4番安田だ。「これからもっともっと調子を上げて、しっかりと4番を守り切ってほしいと思います」と21歳に託す。先発陣はドラフト1位鈴木ら新戦力も含めて安定感がある。安田の後に藤岡も1発を放ち、1イニング3発。昨季は開幕直後に8連勝したが、そのうち6試合が2点差以内の勝利だった。今年はすでに大勝が3試合。何かが違う。爆発力を安定して出せれば、十分に優勝争いできる力がある。

4月負けなしのチームは4位に浮上した。浮かれる暇もなく、8日は難敵・山本由伸が待ち構える。井口監督は「何とかしっかりと1点を取って、守り切れるように」とスローガンを強調した。【金子真仁】

ロッテ・マーティン(2試合連発の5号ソロ)「打ったのはフォーク。しっかり球を見て自分のスイングをすることができたよ」

ロッテ藤岡(マーティン、安田に続き7回に1号2ラン)「良いスイングができて、良い弾道でスタンドまで行ってくれて良かったです」