積極性を貫く-。広島がヤクルトとの接戦を落とした。佐々岡真司監督(53)は中盤から継投に代打、代走と策を講じた。中継ぎ陣は1点でしのいだものの、攻撃面ではミスが生じるなど流れを引き寄せられなかった。昨秋から磨きをかけた機動力が空転する場面も見られた中で、指揮官は選手の攻める姿勢を認めた。変わらぬ攻撃的スタイルで神宮で借りを返し、3カード連続の勝ち越しを目指す。

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指揮官は最後まで攻撃的にタクトを振るったが、あと1歩届かなかった。2-3の9回。三塁側ブルペンで守護神栗林が投球練習を続ける中、2死一、二塁で代打松山の飛球はやや前進した右翼手のグラブに収まった。佐々岡監督は「今年は最後まで粘り強く。9回もあそこまで粘り強く攻めた。今年1年やらないといけない。できたというところもある」と選手たちの姿に前を向いた。

1点を追う8回。接戦でこそ武器となる機動力が空転した。代打坂倉が四球を選び、前日チーム初盗塁の曽根を迷わず代走で起用。だが、ヤクルト清水のけん制に逆を突かれてタッチアウトとなり、傾きかけた流れを手放した。次打者が好調の1番菊池涼だっただけにあまりにも痛いけん制死だった。佐々岡監督は「紙一重のところでやっているんだけど、確かに痛い。積極性はなくしてはいけない中で、大事なことは考えないといけないところはある」と“足のスペシャリスト”と期待するだけに、反省を促した。

ただ、積極性が失われては、機動力は発揮されない。6回2死一、二塁から二塁走者の鈴木誠がヤクルトバッテリーの隙を突いて三盗に成功。送球がそれる間に狙った本塁への走塁は憤死に終わるも、佐々岡監督は責めようとはしない。「積極的な走塁は今年ずっとやっていることなので、それをダメだと言うと積極的な走塁もできなくなる」。選手に冷静な判断力を求めつつ、積極走塁を貫く姿勢は否定しなかった。

昨季は2点差以内の試合を17勝22敗と負け越した。接戦で勝ち切るため、昨秋キャンプから機動力に磨きをかけてきた。今季はここまで打線がリーグワースト2位の34得点にとどまる中、投手陣の奮闘が光る。この日は1点に泣いたものの、2点差以内の試合は3勝3敗。ミスや失敗から学び、精度を増すことで、広島の機動力は今以上に大きな武器となる。【前原淳】

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