04年アテネ五輪陸上男子ハンマー投げ金メダリストで、スポーツ庁の室伏広治長官(46)が、難病の「悪性脳リンパ腫」と闘っていると7日、週刊新潮のニュースサイト「デイリー新潮」が報じた。室伏長官は同日、都内で日刊スポーツなどの取材に否定はせず「大丈夫」と語った。東京五輪・パラリンピック組織委員会時代から成功へ力を尽くす大会へ、公務を続ける。

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オリックス吉田正尚外野手(27)が「恩師」が闘病中という報道を驚きをもって受け止めた。04年アテネ五輪陸上男子ハンマー投げ金メダリストで、スポーツ庁の室伏広治長官(46)が難病の「悪性脳リンパ腫」と闘っていると週刊新潮が報じ、室伏氏から毎年オフに合同自主トレで指導を受けてきた男は言葉を選びながらコメントした。

「全然、知らなかったです…。今朝(室伏氏に)連絡を入れました。オフに一緒に練習させてもらってましたけれど、全く分からなかった。そぶりもなかったので隠していたんだと思う。絶対しんどかったと思います」

16年オフに吉田正が直筆の手紙を送ったことがきっかけで始まった「室伏塾」は、もう5年になる。今オフは初の首位打者のタイトルを引っ提げて参加。充実した時間を過ごし、体作り以上のものを得てきた。「一番の学びは、謙虚さや立ち居振る舞い。スポーツ庁の長官にも任命されてますし、競技の実力だけじゃない。心の余裕、懐の深さがすごい。体も心も大きいと、いつも思います」。練習後の師匠からは「吉田君は意欲もハングリー精神も持ってやっている。現状に満足することなく、もっと頑張ろうという姿勢は本当に素晴らしい」と情熱や探究心を認められた。

室伏氏は病気であることを弟子に悟らせることはなかった。吉田正は改めて前回の合同トレを振り返り「(表情に)見せなかった。すごい人ですよね、やっぱり」としみじみ言った。この日はロッテ戦に「3番左翼」で出場。2回の守備では、ファウルゾーンの飛球を全力疾走でスライディングキャッチするなど、気迫を前面に出した。ヒットは出なかったが1四球1得点。恩師のためにも、全身全霊で明るいニュースを届ける。【真柴健】