球団史に残るプロ初勝利だ。阪神ドラフト2位の伊藤将司投手(24)が巨人戦(甲子園)で7回1失点でセ界のルーキーで初勝利一番乗り。これがプロ2戦目。「伝統の一戦」に初登板して初勝利は阪神の新人で初めてという快挙となった。開幕ローテ唯一の左腕の奮投でチームは巨人に連勝し、今季初の4連勝。今年も新戦力が頼もしい!

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コロナ禍の中で、伊藤将の存在は明るい光だった。JR東日本施設部工事課の同僚、山本太郎さん(30)は振り返る。「課からドラフトで指名される選手が出る喜びや驚きは、コロナ禍を明るくさせる話題となりました」。

昨年10月26日のドラフト会議当日。JR東日本の会見場には、1枚の色鮮やかな大漁旗が飾られた。同僚全員から伊藤将への思いが込められたものだ。「野球以外の話であっても、真面目な受け答えで、課のメンバーとも交流を持っていました」と山本さん。明るく前向きな左腕は、社内でも人気者だった。

昨年2月に伊藤将が異動してから、試合の度に課内は話題で持ちきり。コロナ禍で直接応援に行くことが出来なかったため、応援の気持ちを形にすることにした。「横断幕の掲出が可能な場合もあると知り、これは横断幕を作って工事課の思いを伝えなければと思い、製作しました」。都市対抗東京2次予選での掲出を目指し、9月から作製に取りかかった。文字のデザインやレイアウトは数パターンを用意して、課全体でアンケートを取って決定した。

大漁旗を選んだのは、そのインパクトでマウンドから必ず見つけてもらえるように。カジキマグロのデザインで勢いある投球をイメージし、次々に三振を奪う姿を見せてほしいとの思いから「三振大漁」の文字を入れた。観客が入れるようになった11月の都市対抗では、大漁旗とともに同僚全員で応援に駆けつけた。

ドラフト指名後に、伊藤将からもらったサインボールは、山本さんの宝物だ。「サインの価値が出るように頑張ります」の言葉に決意を感じ取ったという。「猛虎魂の片隅にJR魂も忘れずにプロの世界でも活躍してください! 首都圏で試合があるときはみんなで応援します!」と話す温かい応援団が、これからも左腕を見守っている。【阪神担当=磯綾乃】

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