珍記録で新監督に初陣勝利を贈った。法大・三浦銀二投手(4年=福岡大大濠)が、リーグ史上62年ぶり3人目となる「ノーヒット・ワンラン」で慶大に勝利した。今秋ドラフト候補右腕は8回に内野ゴロの間に1点を取られただけで、加藤重雄監督(64)の初采配を飾った。昨秋優勝の早大は東大に終盤に追い上げられるも逃げ切り。東大は57連敗。

   ◇   ◇   ◇

加藤監督の言葉に、三浦はネジを巻き直した。2-1の9回2死一、二塁。マウンドで「最後まで行くぞ」とハッパをかけられた。「もちろんです!」。力強く返すと、続く慶大の代打・綿引を145球目で空振り三振。元気よく叫んで喜びを表した。

降板後は控えめだった。「ノーヒットでも1点、取られている。四球が多い。恥ずかしいです」と6四球を反省した。唯一の失点も四球から。8回先頭に与え、二盗と一ゴロで1死三塁。内野は前に守らなかった。2点リードの状況で、加藤監督は「個人の記録は頭にあったが、まず勝つことを優先した。三塁走者は放っておけと」。遊ゴロで1点を失ったが、リードは守った。

1年春から投げ、同年春秋計5勝。将来を嘱望されたが、昨年はフォームを崩し未勝利。右肘痛にも悩んだ。「軸足に(重心を)残しつつ、前で球を離す」よう意識を変え、球威、制球を取り戻した。以前からコーチとして接してきた加藤監督は「連打されないうまさ。格段に成長した」と太鼓判を押した。三浦は「慶応に勝つのは初めてです」とうれしそうに明かした。主将として、エースとして、上々のスタートを切った。【古川真弥】