プロ注目で最速148キロ右腕の天理大・牛島樹(いつき)投手(4年=専大玉名)が追手門大戦のロングリリーフで好投した。2点を追う3回から救援し、2者連続空振り三振発進。走者を出しても粘り抜いて、7回9奪三振無失点で逆転勝ちに導いた。

 

「ゼロに抑えて、チームが勝てたのが一番。それを意識しています。相手が真っすぐが強いのは分かっていた。変化球でどうカウントを稼ぐか。ファウルを打たせる狙いもありました」

普段よりも変化球を多投。最速145キロで落差のあるフォークで再三、空振り三振を奪った。中盤に逆転し、1点リードの7回1死満塁。中軸にフォークで空を切らせた後、三ゴロに抑え、危機を脱した。

バックネット裏ではNPB4球団が視察した。広島鞘師スカウトは「球種が多彩だし、柔らかい腕の使い方をする」と評価した。100キロを切るスローカーブも織り交ぜ、スライダー、カットボールも用いる。藤原忠理監督(55)は「手足が長いから、ボールを押し込める。打者は距離を詰められてくる。角度もあるので、低めに沈む球が有効です」と特長を説明した。

182センチの牛島は手本にする投手がいる。昨季、10勝を挙げてセ・リーグ新人王に輝いた広島森下暢仁投手(23)だ。指揮官に「こういう投手になれ」と勧められたという。投球動画で研究を重ね、角度がつく投球動作を模索し「去年の秋よりも角度がつきました」と手応えを口にする。ブレーキの効いたカーブは楽天岸孝之投手(36)を理想に挙げる。この日、持ち味が出た118球だった。暖かくなり、球威が増せば、変化球もより生きるだろう。

前日10日にはエース井奥勘太投手(4年=立正大淞南)が8回1失点、11奪三振で快勝。負けじと牛島も力投した。「いつも井奥に引っ張ってもらっている」。最上級生になり、井奥とともにチームを支える。「僕は気合で声を出して投げるタイプ」。要所をしのぐと何度もガッツポーズ。ファイターが開幕4連勝の立役者になった。【酒井俊作】

◆牛島樹(うしじま・いつき)2000年(平12)2月20日生まれ、熊本・菊陽町出身。武蔵ケ丘小3年時に、武蔵ケ丘野球クラブで野球を始め、武蔵ケ丘中では軟式野球部。専大玉名では1年夏からベンチ入りし、1年秋からエース。甲子園出場はなし。天理大では2年秋からベンチ入り。最速148キロで球種はカーブ、スライダー、カットボール、フォーク。182センチ、78キロ。右投げ右打ち。