どやっ! 阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(22)が中日大野雄大投手(31)との初対決でいきなりアーチをかけた。2回に右中間席に飛び込む先制ソロ。ドラフト新人で3・4月に7本塁打を記録したのは横浜村田に並ぶ最多記録。26試合目での到達は田淵に並んで球団最速となった。逆転負けを喫したが、沢村賞左腕から文句なしの1発は明るい希望だ。

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佐藤輝は逃さなかった。

2回2死走者なし。中日大野雄の135キロのフォークが浮いた。素直にバットを出すと、打球は大きな放物線を描いた。右中間席中段の通路に着弾する125メートルの7号ソロ。両翼100メートル、中堅122メートルの敵地の印象を「広い」と話していたが、自慢のパワーで楽々と運んだ。

「いい感じで打てました。高めに浮いてきた甘い球だったので、それを一発で打てたことはよかったと思います」

以前、「セ・リーグでも一番いいくらいの投手」と大野雄の印象を語っていた。2月の練習試合で初対戦し、直球を3球で追い込まれ、最後はまさかの死球。真剣勝負の場では、失投を1球で仕留めた。第2打席は強い当たりの左飛、第3打席は外角直球に手を出さず、四球をもぎ取った。これで7発のうち3発がサウスポーからで、左右を苦にしない。昨季沢村賞左腕からの1発で、さらに自信になったはずだ。

これで3・4月は7本塁打目。03年横浜(現DeNA)村田に並ぶドラフト新人最多タイ。「そこについては特に意識はないです」と執着はない。さらに26試合目での7発は、田淵と並び新人球団最速タイとなった。猛虎の本塁打に絡んだ記録を次々と塗り替えそうな予感が漂う。井上ヘッドコーチは強敵を打ち砕いたルーキーに驚いた様子だ。「前回も森下を打ったりとか、そういうような星を持っているというか。あいつの持ち味であるフルスイングというのはこれからもずっと続けさせるし、続けてほしい」。矢野監督も「失投を見逃さずにね。ヒットじゃなくて本塁打にできるのは魅力」とたたえた。

試合のたびに成長し、カード2回り目に入った14日広島戦(甲子園)以降、11試合で40打数13安打。4本塁打で打率3割2分5厘と、プロのボールに順応してきた。プロ2度目の2試合連発で、量産態勢に入ってきた。「もっと打って、チームの勝ちにつながる1本を打っていけるように頑張ります」。チームは逆転負けで連勝ストップ。苦戦してきた敵地バンテリンドームで、怪物ルーキーが流れを変える。【中野椋】

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