首位阪神が16年ぶりのリーグ優勝へ向けて、変幻自在のフォーメーションで主軸に休養を与えながら戦う。ドラフト1位佐藤輝が2日広島戦でともにプロ初の「4番三塁」で出場し、満塁弾に加えて近大時代までの本職で球際の強さを発揮。新たな布陣が見えたことで矢野燿大監督(52)は新外国人ロハスが1軍に合流した場合、大山、サンズ、マルテも含めた大砲5人で一塁、三塁、左翼、右翼の4ポジションをやりくりする考えを示した。まずは4日からのヤクルト2連戦(神宮)で首位固めだ。

三塁・佐藤輝明の成功が、今季の戦い方にさらに幅を持たせそうだ。2日広島戦は初の「4番三塁」で出場して逆転満塁弾。8回1死では坂倉の三塁線の打球を逆シングルでキャッチし、強肩を生かした送球も見せた。近大時代までの本職で良質なパフォーマンスを見せ、首脳陣の期待に応えた。開幕から不動の4番三塁だった大山を、この日の移動日と合わせて2日間休養させることができた。

矢野監督は「誰かが休む時にどこかにはめられるということになるんで」と説明。東京からの移動ゲームだった4月23日DeNA戦(甲子園)では5番サンズ、正捕手梅野を休養させ、翌日の試合では2人ともマルチ安打と打点を記録と元気に活躍している。メジャーでは長いシーズンを乗り切るために、主力にも休養日が与えられる。阪神が85年以来の日本一になるためには、ポストシーズンも勝ち抜かなければならない。

外国人枠の関係もあるが、2軍調整中の新外国人メル・ロハス・ジュニア外野手(30=韓国・KT)が8日DeNA戦(横浜)から合流となれば助っ人野手3人となる。矢野監督は「これからロハスとかが絡んできたら、いろんなポジション変更もありえる」と明言。ロハスは昨季韓国で本塁打、打点で2冠、そしてサンズはここまで7本塁打、21打点、マルテは6本塁打、16打点。助っ人に負けじと大山は打率3割、5本塁打、23打点、佐藤輝はともにチーム最多の8本塁打、24打点をマークしている。この打撃強力な5人を中心に一塁、三塁、右翼、左翼をやりくりし、休養日を設けながら戦うことも考えている。

助っ人野手3人の同時出場も可能となり、井上ヘッドコーチは「その辺はコーチ陣と監督が話し合って。みんなが調子よかった場合に、オーダーを決める時によい悩みでありたい」と補足した。25日からの交流戦では指名打者制のパ・リーグ本拠地9試合で主軸5人を並べることもできる。現在貯金12の阪神の残り試合は113もある。最後に頂点に立つために、豊富な戦力を最大限に生かす。【石橋隆雄】

▼阪神の外国人野手3人がそろって先発出場すれば、昨年10月21日広島戦の3番マルテ、5番サンズ、6番ボーア以来。昨季はこれを含めて6試合あり、他の5試合はいずれも4番マルテ、5番ボーア、6番サンズだった。なお球団初の先発3人そろい踏みは15年。マートン、ゴメス、ペレスが3試合に先発した。なお今季は巨人が5月1日中日戦で、スモーク、ウィーラー、ウレーニャの3人が先発している。