広島ドラフト1位の栗林良吏投手(24)がデビューから14試合連続無失点とし、2リーグ制後の日本新記録を樹立した。タイ記録に並んだ3日から連投で、同点の9回に登板。1死二塁のピンチから坂本を三ゴロ、丸はワンバウンドのフォークで空振り三振で無失点を継続。だが「チームが勝てなかったので、うれしさはあまりないです」と大記録にも笑顔はなかった。

原点回帰できる場所がある。中学時代に所属していた愛知・藤華クラブだ。「有野監督のおかげでここまできているので」。卒団後も、毎年5、6回は練習に顔を出している。恩師の有野伸一総監督(53)は当時を「あのまんまの感じ。ここ一番で強かった」と明かす。主に遊撃手だったが、ある試合で最終回の無死満塁から登板。3者連続三振で切り抜けた。有野氏は「そういうポテンシャルは持ってました」と振り返る。

栗林が座右の銘に掲げる「謙虚」は有野氏から授かった。野球の能力が高かった栗林は先頭でチームを引っ張っていた。だが周囲との「温度差を感じた」という監督から、「もう少し周りを見て、謙虚にやっていこうぜ」と助言を受けた。栗林は「最初は重みも意味もわからなかった」。だが年を重ねるごとに「応援してもらう大切さを学んだ」といい、大学からグラブに「謙虚」の刺しゅうを刻む。今年2月には、SSK社を通じて打撃マシンとノックバット10本を寄贈。有野氏は「断ったんですけど、『どうしても』ということだったので」と感謝した。

栗林は「『謙虚』は人生においてずっと大事にしていきたい」と言う。大記録にも慢心はない。恩師の言葉を支えにプロでも輝きを放ち続ける。【古財稜明】

▽広島佐々岡監督(栗林について)「全く大したもんというかね。こっちとしては頼もしい。記録をずっと継続してくれればチームの勝利ということになると思う。本当に気持ちの強いものを持っていると思う」

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