まるで2日前のVTRを見ているかのような、7回の同点劇だった。この日も原口文仁捕手(29)、熊谷敬宥内野手(25)コンビで2死走者なしから得点圏に走者を生んだ。1点を追う7回2死、投手の打順で原口が登場し、四球で出塁すると、代走熊谷が1番近本光司外野手(26)の打席で2度けん制後の初球に二盗を成功。その近本が中前にしぶとくはじき返し熊谷が同点のホームを踏んだ。矢野監督は「1点で同点っていう形やけど、それ以上のいけるっていう気持ちにさせてくれたものだったんで」と、好投の中日先発ロドリゲスを降板させ、その後の勝ち越しにつながる攻撃だったとほめた。

熊谷が「前回と一緒で原口さんが出て、自分があの場面で自分がしっかりやれることをやるだけだと思っていた」と振り返るように2日前の11日の中日戦でも1点を追う7回2死から代打原口が出塁(遊撃内野安打)し、代走熊谷が初球で二盗を決め、この時は1番近本も四球で続き、2番糸原の適時打で同点のホームを踏んでいた。

どちらの盗塁も初球にスタート。矢野監督も「いい準備ができているのと、勇気もいるし」とほめた。今季5個目の盗塁は中野に並んでチーム2位タイ。成功率も100%だ。4年目の今季は2軍キャンプスタートから開幕1軍を勝ち取り、開幕2戦目の3月28日ヤクルト戦の8回から右翼の守備固めで今季初出場。1軍で初めて外野を守ったが、青木の大飛球を好捕。そこから内、外野の守備固めと代走としてベンチに欠かせない戦力となっている。

立大時代には仙台育英の同学年のソフトバンク上林とよく電話で話をした。プロアマもあり野球の話はできなくとも、先にプロの世界でもがく親友の話を聞き、自分もプロの舞台で輝きたいと背中を押してもらった。この日は午後1時からの2軍オリックス戦(オセアンBS)に7番右翼で出場してからの親子ゲーム。長い1日となったが、俊足イケメンがその存在価値を虎党にバッチリと見せつけた。【石橋隆雄】