昨秋、都市対抗を制したホンダが関東地区予選の代表決定戦で鷺宮製作所を破り、4大会連続23回目の出場を決めた。

大一番の先発を任されたルーキー片山皓心(ひろみ、22=桐蔭横浜大)投手が躍動した。中1日でマウンドに上がると、ストライク先行で打たせて取った。「今まで、全国大会につながる試合で投げたことがなかったので緊張しました」と振り返るも、「最少失点で抑えればいい」と自分に言い聞かせ、丁寧にアウトを重ねた。4回を除く毎回走者を出すも、バックも堅い守りでもり立て、8回を6安打1失点。「力も入ってピンチもあったけど、粘れました。今日はインコースに投げきれたことが良かった」と安心した表情を見せた。

入社1年目、チームに合流しわずか4カ月にして、主戦を任させるまでに成長した。片山は「今まで、野球をあきらめなくて良かったなぁと思います」と笑った。日立一では2番手投手。「大学でも野球がやれたらいいなぁ」と桐蔭横浜大に進学すると、「社会人野球で続けられたら」と望みを捨てず、4年秋には左腕エースに成長。昨秋の横浜市長杯でMVPを獲得した。片山は「大学時代は変化球でストライクが取れずに苦労しました。でも、ホンダに入りそれが投げられるようになったのが大きい」と話した。社会人野球での最速は145キロながら、スライダー、チェンジアップ、カーブと打者の目線を外す変化球に、自信の真っすぐを投げ、打ち取るスタイルを確立した。

元巨人の木村龍治コーチ(50)は「片山は、柔軟性がプロ野球選手に匹敵する数値。ものすごくコンディショニングがいい。たとえば、関節可動域が素晴らしい」と高く評価する。入社以来、足を上げて体幹をひねるタイミングなど、体の使い方を徹底的に練習して投球が安定。エースの座を勝ち取った。

まだまだ進化を続ける片山。「僕は投げるのが好き。こういう場面で投げさせてもらい、うれしいです」と初々しく笑った。

ルーキーの加入で強さを増すホンダ。昨年都市対抗優勝の黒獅子旗に続き、日本選手権のダイヤモンド旗取りへ。その勢いは止まらない。

ホンダは6月29日~7月14日に、京セラドーム大阪などで開催される第46回社会人野球日本選手権大会に出場する。