慶大(東京6大学)は、新美貫太外野手(4年=慶応)が起用に応えた。1-1の7回1死二塁で、左中間に勝ち越しの適時二塁打を放った。今春リーグ戦は代打や守備固めだったが、全国大会初戦に8番左翼で先発出場し、仕事を果たした。「どんな使われ方をしてもパフォーマンスを発揮するつもりでした。リーグ戦に入ってなかった選手も含め、自分の出来ることは何か、全員が考えていました」と、日ごろの準備のたまものと強調した。

大会唯一の国立大である和歌山大(近畿学生)を相手に、苦戦を強いられた。打線は左腕・瀬古を打ちあぐね、自慢の打線がつながらない。一方、先発の森田晃介投手(4年=慶応)は持ち前の制球が定まらず、1点をもらった直後の3回には自らの失策が絡み、追い付かれた。勝ち越しこそ許さなかったが、7回まで4安打4四球で、3者凡退はなかった。

ただ、重苦しい展開でも、ベンチでは前向きな声が飛んでいた。福井章吾主将(4年=大阪桐蔭)は「選手間でも、そんな簡単に勝てないという話はしていました。苦しい試合になるのは想定内」。競った展開で終盤に勝ち越したのは、チーム力の証し。7回はセーフティースクイズも成功し、計3点を奪った。

堀井哲也監督(59)は「率直に、非常に苦しい試合でした。どっちに転んでもいい場面が多くあった。よく勝ちきったな、という印象です」と正直に打ち明けた。新美の起用については「短期決戦。とにかく調子がいい選手を使いました」と説明。1戦必勝で、まずは8強入りを果たした。