慶大(東京6大学)が69年ぶりの対決を制し、4強入りした。関学大(関西学生)との対戦は、52年の第1回大会決勝以来。安打は相手の9本より少ない7本だったが、3犠飛に押し出し死球で得点を重ね、69年前と同じ5-3で勝利した。上武大(関甲新学生)福井工大(北陸)福岡大(九州6大学)も4強進出。11日の休養日を挟み、12日に準決勝が行われる。

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慶大・福井章吾主将(4年=大阪桐蔭)の打球はライナーで中前に落ちた。初回に4番正木の犠飛で1点先制し、なお2死二塁。「しっかり、はじき返せました」と、ドラフト上位候補左腕の関学大・黒原から放ち、胸を張った。ただ、この試合の適時打は、これだけ。あとの4点は、3犠飛と押し出し死球で奪った。

2本塁打の相手打線のような派手さはないが、それこそが、慶大の強さを示している。就任2年目の堀井哲也監督(59)の下「安打を打たなくても点を取る」ことを目指してきた。練習から走者一、三塁など場面を想定。どこに打てば点を取る確率が高いか、考えて打つ。8連勝で優勝した今春リーグ戦も、チーム打率2割5分7厘はリーグ3位。同1位の明大(3割2分8厘)とは7分1厘も開いたが、総得点56は、58点の明大と2点しか違わない。内野ゴロ、犠飛、押し出しなど適時打以外で奪った点が多かった。リーグ戦同様の戦いで4強入りだ。

くしくも、69年前の決勝と同じ相手に同じスコアで勝利した。福井は「知りませんでした。そこまで余裕なくて」と苦笑いしたが、87年以来34年ぶりの優勝への思いを聞かれ、すぐに口元を引き締めた。「トーナメントは、ここからが難しい。1戦必勝で頑張りたい」。【古川真弥】

○…元ヤクルトの宮本慎也氏(50=日刊スポーツ評論家)が観戦に訪れた。コーチ退任後、19年に学生野球資格を再び回復。高校、大学、社会人と幅広く指導している。準々決勝に登場した東農大北海道オホーツクと慶大も指導したことがあり、応援に駆け付けた。「指導したチームには愛着がありますので、時間があれば来たいと思ってました。オホーツクは残念でしたが、慶応に頑張って欲しいですね」とエールを送った。