ソフトバンクが「日本生命セ・パ交流戦」の広島戦を引き分け、1勝2分けで2カード連続の勝ち越しを決めた。プロ5年目の三森大貴内野手(22)が値千金の同点適時打を放つなどプロ初の1試合4安打をマーク。チームの交流戦連覇の可能性はなくなったが、若鷹が躍動した。

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三森は何度もガッツポーズした。1点を追う8回1死二塁、やや前進していた外野守備の頭上を越える右中間への三塁打で同点に追いついた。「ランナーを返すことだけ。ああやってチャンスをつくって、回していただいた。なんとか1本打てるようにという気持ちでした」。大きな一打で投手戦を引き分けに持ち込んだ。

4試合連続で1番打者に指名されると、初回に俊足を生かし内野安打で出塁。3回2死では左前打を放ち、6回無死でも中前打。チーム5安打中、4安打を1人で記録する奮闘ぶりだった。猛打賞は19年4月21日の西武戦以来2年ぶりで、1試合4安打はプロ初。3回には今季3個目の盗塁も決め、生き生きとグラウンドを駆けた。

開幕から「1番二塁」で起用された周東が打撃不振。好調だった牧原大が足を痛め離脱。今季初昇格した4日阪神戦(甲子園)は偶然、オリックスとの2軍戦が中止で関西に滞在していた。小久保ヘッドコーチも「ちょうど神戸で練習していたので」と即スタメンに抜てき。そこから着実にアピールし、運も味方につかみ、チャンスをモノにしようとしている。

なんとか試合に引き分けたが、交流戦優勝の可能性は消えてしまった。他球場の結果次第ではまだチャンスがあっただけに、工藤監督も「今日は勝つか負けるかとか、引き分けになりましたけど全然変わってきますからね。引き分けたことは三森がしっかりやってくれたおかげ」と最大限に若鷹をねぎらった。

プロ1、2年目には同姓で人気声優「三森すずこ」の曲を登場曲にし、ひそかに話題になったこともあった。「打撃、走塁というのが一番アピールしたいところですし、持ち味なので。そこを出していければいいかなと思います」と実力で、鷹の新たな顔を目指す。【山本大地】

◆三森大貴(みもり・まさき)1999年(平11)2月21日、埼玉県生まれ。3歳から野球を始める。小学時代は投手、捕手。中学時代は青森山田シニアで主に捕手。青森山田高では1年秋から遊撃手。2年秋の神宮大会で4強。3年春に甲子園出場。16年ドラフト4位でソフトバンク入団。19年に1軍初出場。昨年は開幕1軍も定着できず、ウエスタン・リーグで首位打者。186センチ、73キロ。右投げ左打ち。

【訂正】当初に配信した原稿で「負ければ交流戦優勝が消滅する可能性があった」は誤りで、正しくは「交流戦優勝、連覇の可能性はなくなった」でしたので、原稿を訂正しました。