ロッテ佐々木朗希投手(19)はどんどん進化する。交流戦のヤクルト3回戦(ZOZOマリン)に先発。初回から、1軍公式戦では自己最速となる155キロを連発した。2回、4番村上に初被弾の18号ソロを浴びたが、解禁したチェンジアップなども交ぜながら、自身最長6回を4安打5奪三振の1失点で投げ抜いた。同点で降板し本拠地初勝利はお預けも、過去2戦より確かな上積みを示し、潜在能力の高さをあらためて感じさせた。

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薄暮のZOZOマリンはもう真っ暗になっていた。夜風の中で6回1失点。佐々木朗は「総合的に試合は作れましたし、前回よりも1イニングですけど多く投げられて、失点も少なく抑えられて、良かったなと思います」と自己評価した。

2回無死、村上に完璧な本塁打を浴びた。151キロの直球を運ばれた。高校時代は被本塁打の直後やピンチで、明らかにギアを上げた。今は動じない。

「まだ2回だったので。あれがまた7回や8回だったら、全力でというか、いろいろな球種を駆使しながら抑えにいくと思うんですけど、まだ2回だったので、試合を作ることを優先していきました」

初回から155キロを連発させたが、上限はそこに。球速にもメリハリをつけてプランニングした。「苦しい場面で変化球でカウントを取れたり、相手が直球を待っている中でいいところに変化球を投げられたり」と振り返る投球術。それでいて直球53球の平均球速は151キロを超えた。

試合開始から2球目に、球場の空気を揺らした。2番青木への初球が青木から緩やかに逃げていった。128キロのチェンジアップ。1軍公式戦では203球目、オープン戦や2軍も含めた実戦では619球目にして、プロ入り後初めて解禁した。親指と人さし指で円を作って投げる、いわゆるサークルチェンジ。150キロ前後の直球に、140キロ前後のスライダーとフォーク。第3の球速帯の開拓に3球を投じた。「これからもっと試して、自分の武器になれば。自分を助けてくれる球になればなと思います」と、まずは実戦でトライしたことが収穫だ。

塩見、山田ら右打者の内角も少し突いた。「1回にたくさんのことはできないので、1つずつやりたいことを自分の中でテーマを決めて、少しずついろいろなことをできれば」と投げるたびに大きくなる。とはいえ戦力としても頼もしい。ロッテの直近20試合で、先発が6回を投げ切った試合は6試合のみ。交流戦の登板を終え、パの猛者たちの脅威となるべく牙を研ぐ。【金子真仁】

ロッテ井口監督(佐々木朗の投球)「チームにとって最高のピッチングをしてくれたと思います。1度登録抹消? これから考えます」