首位阪神が「日本生命セ・パ交流戦」で日本ハム相手に今季3度目の同一カード3連勝を決めた。けん引したのはドラフト6位中野拓夢内野手(24)だ。5回の先制打を含むマルチ安打に加え、マルチ盗塁でリーグ最多タイ12盗塁とした。2位巨人を6ゲーム差とさらに突き放し、貯金は今季最多の17。北の大地で独走態勢を強め、11日から杜(もり)の都でパ・リーグ首位楽天との交流戦最終カードに臨む。

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中野が均衡を破った。0-0の5回2死一、二塁。「何としてもかえすという気持ちで」と気合を込めて第3打席に立った。アーリンの初球140キロ直球を打ち返すと、打球は二塁手渡辺の頭上を越えた。チームに勢いを与える先制打に「重苦しい雰囲気があったので、甘い球を1球で仕留めることができてよかた」と冷静に言った。

ここで仕事は終わらない。「常に次の塁を狙うという意識は強く持っている」と2死一、三塁で二盗。臀部(でんぶ)に死球を受けた7回は、痛みを気にするそぶりを見せず再び二盗を決めた。「足でかき回そうという気持ちで走塁をしているので、その結果がいい方向につながっている」。12盗塁はセ・リーグトップのヤクルト塩見に並び、交流戦7盗塁は12球団最多。12企図で全成功の「失敗しない男」も継続させた。

この日のオールスターゲームファン投票の中間発表では、11万4122票でセ・リーグ遊撃手で堂々の1位。2位巨人坂本に約2万6000票差つける。「ファンの方々にいい評価をしていただいているのは非常にうれしい」と喜び「投票数に恥じないようなプレーをしていきたい」と引き締めた。外野手部門でトップを走る佐藤輝の18万4939票には及ばないが、ドラフト6位ルーキーの人気もすさまじい。

9回2死二塁では三ゴロが野村の失策を誘って貴重な追加点を挙げた。2安打1打点で打率は2割9分8厘。規定打席まであと「7」に迫る。矢野監督は「新人という感じにも見なくなってきて、欠かせない感じになってきている」と賛辞を送った。「チャンスを広げるとか、ランナーに残っても足があるというところは2番に置いて相手も嫌やと思う」。糸原の離脱後2番に定着し、今や必須の存在となっている。

2桁得点で快勝した翌日は1点ずつ着実に積み重ねての勝利。チームは3連勝で貯金を今季最多の17まで増やした。2位巨人が敗れゲーム差は今季最大の「6」。一気の独走も見えてきた。「残りの3連戦もしっかりと塁に出て、自分の役割をしっかりやっていきたい」。さあ、交流戦最終カードの楽天戦へ。勢いに乗って仙台へ乗り込む。【中野椋】

▼阪神の今季同一カード3連戦3連勝は、3月26~28日ヤクルト戦、4月9~11日DeNA戦に次ぎ3度目。

▼交流戦が年間18試合となった15年以降、阪神が交流戦で同一カード3連戦3連勝は、15年5月26~28日の甲子園での楽天戦に次ぎ2度目。敵地に限ると初となった。

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