右肘靱帯(じんたい)断裂で戦線離脱していた日本ハム斎藤佑樹投手(33)が12日、イースタン・リーグDeNA戦(鎌ケ谷)で269日ぶりに実戦復帰した。

2番手でマウンドに上がった6回の1イニングを9球で3者凡退。最速は132キロだった。ほぼ前例のないリハビリに取り組みながら、実戦マウンドまでこぎつけた。最終目標は今季中に1軍戦力として表舞台に戻ること。背番号1の勝負は、ここからだ。

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1球入魂で必死に右腕を振った。269日ぶりに実戦マウンドに立った斎藤は「長い9球だったなと思います」。戸柱を右飛、嶺井と益子を三ゴロに打ち取った。わずか9球で約3分間の復帰マウンド。見た目はあっという間でも、本人しか分からない特別な時間だった。「1球1球、すごく大事に、間も使って投げたので」と、久しぶりに味わった真剣勝負は、野球人の本能をよみがえらせた。

斎藤 野球を辞めなくちゃいけないと思ってから今日に至るまでは、野球をやらせてもらっている感謝を毎日感じていました。チームが戦っている時期ではあるんですけど、こうやって試合に投げられて、僕自身は幸せに感じました。

昨年10月16日の2軍戦での登板後に右肘靱帯断裂が発覚した。直後に復帰まで1年以上を要するトミー・ジョン手術は選択せず、ほぼ前例のないリハビリに懸けた。まずは血液から血小板を大量に含んだ血漿(けっしょう)を取り出して注入し、自己治癒力を利用したPRP療法などを実施。一般的には投球を一時的に控えるが、リハビリの一環として年明けから積極的に投球を続けて早期復帰を目指した。

斎藤 客観的に見て、すごく大きなことだと思います。もう1回断裂するかもしれないし、これからそういう治療が主流になってくるかもしれない状況の中で、僕がまずは結果を出さないと。その責任感っていうのは少し感じています。

斎藤が言う「結果」は1軍戦力として復帰することだ。靱帯断裂から約9カ月という異例の早さでマウンドに立っても、道半ばだ。

斎藤 すごく焦りがありました。今年1年、選手としての時間を過ごしている。その時間をもらっている以上は結果を出さないといけない気持ちもある。

だから、この日も野球をやれる喜びと同時に、必死に結果を求めた。「0点で抑えることが大事。これからも、どんな手を使ってでも抑えていきたい」。シーズンは残り64試合。野球人生を懸けて臨むいばらの道は、ここからが勝負どころだ。【木下大輔】

▽日本ハム木田2軍総合兼投手コーチ(実戦復帰した斎藤に) 柄にもなく緊張していた。練習では、もうちょっと腕を振って、もう少し強く投げていたりするけど、今日は復帰登板だったので。緊張した中でもうまく投げてくれたとは思います。

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