ロッテ小島和哉投手(25)がページをめくった。自身初、今季チーム初の完投勝利で、自己最多タイ7勝目。首位キープに貢献し、ホッとした。

「勝ちパターンの中継ぎの皆さんが毎試合投げているのを見て、自分のふがいなさを感じたので、1人でも長く投げることだけを考えた結果です。すごく良かったです」

防御率が5点台に近づくなど、すっきりしないマウンドが続いた。野球ノートを見返した。「悩み出した時とか分からなくなった時、あの時にこういうイメージで投げてたなとか、細かく書いているので」。

球速が増し、力みがちになっていた。いつしかノートに書き留めていた「ゆとりあるひざの送り」を再チェック。平地でのキャッチボール。右足つま先を上げ、しばらく止めてから体重移動を始める動きで、らしさを戻そうとした。

プロ入り後に書き始めた。「プロは少ないチャンスしかないと思っているので、1試合1試合をムダにしないように」。より良いものを求めて。自己回顧だけでなく、周囲にも頭を下げた。自身も前半戦に苦しんでいた美馬の言葉は、金言そのものだった。

「1週間で6人しか投げられない先発で投げさせてもらえることが幸せなことなんだから、打たれた後のことは考えないで。もったいないじゃん」

気楽になれて、強気になれた。井口監督が「こういう投球をずっと僕は期待しているので」とたたえたマウンドさばき。己に誠実に向き合いながら、ペンをとる。【金子真仁】