1位指名予想の難しさを、あらためて痛感させられた。

大学、高校それぞれNO・1投手の呼び声がある西日本工大・隅田知一郎投手(4年=波佐見)、市和歌山・小園健太投手(3年)が競合となったのは想定通り。その一方で、楽天が昌平(埼玉)・吉野創士外野手(3年)を、ロッテが市和歌山・松川虎生捕手(3年)を1位本指名したのは、正直、驚きだった。

もちろん、両選手とも高い素質の持ち主。吉野は高校通算56本塁打で、今年の高校生ではトップクラスの長打力を誇る右のスラッガーだ。松川は小園とバッテリーを組み、今春甲子園で活躍した。高校通算43本塁打の打力だけでなく、投手を引っ張る素養がある。ただ、2人とも大方の事前予想では、1位までの評価はなかった。

あるスカウトの言葉を思い出す。「ドラフトは人気のある選手を取るのではなく、必要な選手を取るものです」。楽天の主力外野手は左打ちが多い。野手全体でも、若手の右打ちスラッガー候補が伸びていないのが現状だ。ロッテの捕手陣は、昨秋育成の谷川はいるが、年齢構成的にも10代がもう1人いていい。何より、松川の力を高く評価した結果と言える。

大方の予想どおり、ぶれずに上武大・ブライト健太外野手(4年=葛飾野)を単独指名した中日、天理(奈良)・達孝太投手(3年)の大器にかけた日本ハム、右腕トップクラスの東北福祉大・椋木蓮投手(4年=高川学園)を単独指名したオリックスなど、それぞれの球団が、それぞれの考えを持って指名したと言える。1位指名には、球団のビジョンが込められている。【アマチュア野球担当=古川真弥】