1位指名予想の難しさを、あらためて痛感した。

大学、高校それぞれNO・1投手とも言われる西日本工大・隅田、市和歌山・小園の競合は想定内。一方で、昌平・吉野(楽天)、市和歌山・松川(ロッテ)の1位指名は正直、驚きだった。もちろん、両選手とも高い力の持ち主。吉野は高校トップ級の右のスラッガー。松川は打力に加え、投手を引っ張る素養がある。

それでも、1位までは予想できなかった。今年は、特に難しかった。お恥ずかしながらだが、日刊スポーツの最終予想は、12球団中5球団しか当てられなかった。しかも、うち2球団(西武、ソフトバンク)は事前公表したもの。近年、まれに見る低い“正答率”となった。スカウトからも「今年は他球団の指名を読むのが難しい」という話を聞いた。

突出した候補がいなかったこと。例年より2週間ほど早い開催だったこと。理由はいろいろと考えられるが、あるスカウトの言葉が思い出される。「今年は、ドラフトの原点に戻ると思います。人気のある選手を取るのではなく、球団に必要な選手を取るのがドラフトです」。楽天は主力外野手に左打ちが多く、野手全体でも若手の右のスラッガー候補が伸びていない。ロッテは、捕手陣に若手を増やしたい状況だった。外れ1位ないし2位以下では、獲得は難しいと判断したか。あるいは、他球団は関係なく、絶対に欲しかった、ということだろう。

大方の予想どおり、ぶれずに上武大・ブライトを指名した中日。天理・達の大器にかけた日本ハム。公言どおり、ノースアジア大明桜・風間のソフトバンク。右腕トップ級の東北福祉大・椋木を獲得したオリックス。重複であれ、単独であれ、その年の“顔”とも言える1位指名には、球団のビジョンが込められている。【アマチュア野球担当=古川真弥】