意地を込めたラオウ弾が、右翼スタンドに伸びた。ロッテに8点差をつけられた9回2死一塁で、オリックス杉本裕太郎外野手(30)が本塁打キング独走の31号2ランを放った。

「こういった展開でしたが、なんとか一矢報いたいと思っていましたし、これをなんとか明日(14日)につなげていきたいと思います」

一塁側ベンチ前で右腕を突き上げ、応援団に向かって昇天ポーズを決めた。今季のロッテ戦13本目で、石川から3本目。この日は完敗しても、ラオウは簡単には屈しない。

前日12日に7年ぶりのAクラスを確定させながら、優勝マジックの点灯をこの日は逃した。「やられたものはやられたんですよ。だから、明日ね。もう、前向いていくしかないので。明日をどう戦うかしか考えていないので。それだけです」。中嶋監督は「明日」を繰り返した。1・5差となったロッテとのシーズン最後の対戦に勝てばマジック点灯の可能性があるが、引き分け以下ならロッテに点灯する。負けられない決戦を、宮城に託す。

ともに19年ドラフト1位のロッテ佐々木朗との初の投げ合い。「令和の怪物」らしさを見せ始めた右腕を、宮城は「本当に彼らしいピッチングだったり、すごい迫力のある投球をしているのかなと思います」と評す。それでも、宮城はチームを背負って投げてきた。12勝3敗と貯金9を作り、進撃を支えてきた。10代左腕の記録を塗り替えてきた底力を、再び見せるときが来た。逆マジックは、許さない。【堀まどか】

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