ロッテに優勝マジック9が点灯した。1970年(昭45)以来、実に51年ぶりの点灯だ。負ければ逆に首位オリックスに点灯する大一番で、佐々木朗希投手(19)が輝いた。最速158キロの直球とフォークで押し、6回無失点。同学年のオリックス宮城大弥投手(20)との投げ合いも制し、値千金の今季3勝目を手にした。残り10試合で全てが決まる。一丸となり、こちらも51年ぶりとなる勝率1位でのリーグ優勝へ進む。

    ◇    ◇    ◇

パ・リーグの行く末を決める大阪の陣で、令和の球界を担っていく2人が投げ合った。勝ったのは、佐々木朗希だった。

「チームとしても個人としても負けられなかったので、本当に今日は良かったなと思います」

個人として-。高校時代から仲良しの宮城は、相手のマウンドに立てば難攻不落の存在に変わる。そんな好左腕から先輩打者たちが初回、一気に3点を先制してくれた。「点差もあったので思い切って投げられたと思います」と感謝し、フルカウントでも臆せず腕を振っていった。

1年目があるから今がある。宮城は1軍で1勝した。一方、佐々木朗はコンディション不良も重なり、2軍戦でも登板機会なし。肉体強化に励んだ。「タイミングもありますし、それぞれ違うので」と意に介さず、球団の育成プログラムにのっとって歩んできた。

くしくもこの日、宮崎では1年後輩の中森がフェニックス・リーグでNPB戦で初登板した。1年間同じように肉体強化をし、いきなり151キロで3者凡退。中森が目標として追う佐々木朗はこの日、1回から6回まで直球の平均球速が1度も154キロ台を割らなかった。ストライク率も2登板連続で70%超え。緊張しないはずがない大舞台で宮城に投げ勝ったことは、ロッテの育成方針や方向性が決して間違っていないことの証しにもなった。

同じリーグでこれから何度も対決する。「お互いすごくいい経験をさせてもらいましたし、本当にこれからにつながります」と未来を見つめる。未来以上に、今を見る。初の中6日登板ということも忘れさせられるほどの力投で、一時は遠のいた逆転Vへの流れを完全に引き寄せた。そしてともったマジック9。

「投手の先輩はすごく優しく、時には厳しくしてくれますし、野手の方もたくさん声掛けてくれるので、本当にいいチームだなと思います」

このチームでの優勝への思いは? 「もちろん」と即答した。【金子真仁】

【関連記事】オリックスーロッテ詳細ライブスコア