学生ラスト舞台を、2年後へのスタートラインにする。明治神宮野球大会が20日に開幕する。大学の部に出場する東農大北海道は21日の初戦で慶大(東京6大学)と対戦する。主砲兼司令塔の古間木大登捕手(4年=遠軽)は、NTT西日本入りが内定。2年で全日本大学選手権4強に貢献しプロの注目を受けるも、志望届は提出せず、社会人でのプレーを選択した。俊足、強打、強肩と3拍子そろった捕手として全国大会で能力を披露し、2年後のプロ入りにつなげる。

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難敵を神宮で撃破し「ふるまき」の名を売り込む。相手はソフトバンク2位指名の正木智也外野手(4年=慶応)、オリックス4位の渡部遼人外野手(4年=桐光学園)を擁する優勝候補だ。18日から東京の東農大世田谷キャンパスで練習を開始。本番が近づき古間木は「ドラフト指名の2人は当然だが、全打者の能力が高い。投手陣の一番いい球を効果的に投げさせたい。逃げずに攻めの配球で勝負したい」と意気込んだ。

19年の全日本大学選手権は2年生捕手として初の4強に貢献。今春の同選手権は天理大との初戦の延長10回タイブレークでサヨナラ中前打、準々決勝上武大戦は敗戦も、3回に右越えソロを放つなど高い打撃センスを披露。「長打は打てたが勝負どころでつなぐ役割を果たせない場面もあった。今度は苦しい場面でもチャンスメークし、引っ張っていきたい」。同大初の春秋連続全国舞台。春の経験を糧に、頂点を狙う。

50メートル6秒台前半、遠投103メートル、二塁送球1・9秒台と走攻守そろった捕手。NPBスカウトの注目を受けるも熟慮の末、社会人を選んだ。PL学園OBで98年夏の甲子園準々決勝で横浜松坂との死闘を経験し、三菱ふそう川崎時代には都市対抗優勝を2度経験している三垣勝巳監督(41)と話し合い決断。「現状で志望届を出しても、プロでやれる力はない。社会人で日本一になった監督の話も聞き、2年間、自分を磨いてからプロを目指そうと思った」と振り返った。

2年冬に招集された大学日本代表合宿では、ソフトバンク海野隆司(当時東海大)、ロッテ佐藤都志也(同東洋大)、中日郡司裕也(同慶大)ら、プロに進んだ先輩から直に捕手としての考え方を聞いて回った。「投手の勝負球を投げさせるタイミングなど、僕と違う考えの先輩もいて、配球の幅が広がった」。大学選手権後、課題だった送球精度にも磨きをかけた。進化した姿を見せ、学生生活の集大成を飾る。【永野高輔】

◆古間木大登(ふるまき・たいと)1999年10月10日、北見市生まれ。北見緑小3年時に北見グリーンジャガーズで野球を始める。小6から捕手。北見高栄中では軟式野球部所属。遠軽では1年秋から正捕手。2年秋に全道4強。3年夏は北北海道大会1回戦敗退。東農大北海道では1年春からベンチ入り。2年春から正捕手となり、19年北海道6大学春季リーグ優勝、全日本大学選手権4強。今春秋と2季連続リーグ制覇。家族は両親と兄。右投げ左打ち。183センチ、90キロ。