ロッテ森遼大朗投手(22)は会心の感触を、6年たっても覚えている。

「自分、センターオーバーに2ベース打ったっていうのだけ覚えています。たぶんまっすぐを。センターがめちゃくちゃ前に来てて、たまたま当たったら、たまたま飛んでいったような」

それでも、とてもうれしそうに話した。都城商(宮崎)の1年生が新人戦で安打した相手は、同じ市内で快速球で有名だった都城高の2年生エース。日本シリーズ第1戦の先発が予想されるオリックス山本由伸投手(23)のことだ。

「すごかったです。絶対的エースで。これ打てる高校生、いるのかなって。直球と思って振りに行ったら、フォークで」

美しいフォームで知られた森も、追うように育成選手としてプロ入りした。入団直後、2軍戦を終えたZOZOマリンに、ナイターに備えた山本がやって来て「都城商業から入りました森です」とあいさつした。その後は、テレビ画面の向こうの人になっている。

プロか大学か。迷った末にプロを選び、大学進学したと同じだけの時間が過ぎた。今季は初めて2軍ローテーションで1年を過ごし、10勝をマーク。「そこは収穫があったなというふうには思っています」。一方で、シーズン終盤は失点がやや増えた。疲れもたまる時期。「試合にうまく入っていけなかった時もありました」と明かす。

フォームも固まり、イメージ通りの球を投げられるようになってきた。それでも直球は山本より10キロ前後遅い。「すごいとか言えないですね」。数イニングとはいえ同じマウンドで投げた由伸さんと、また-。

「まずは支配下にならないとそういう舞台にも立てないですし、まずはそこを目指して頑張っていきたいなと」

プロでの投げ合いを夢見る。【金子真仁】