理想は世界の王! 阪神佐藤輝明内野手(22)が22日、新任の藤井康雄1、2軍巡回打撃コーチ(59)の指導で課題を発見した。同コーチは身体的構造を4タイプに分けて体の動かし方を分析した「4スタンス理論」に基づく指導で知られ、甲子園での秋季練習の前に投手、野手全員で約1時間の講習を行った。その後、佐藤輝は打撃練習中に個別レッスンを受け、ソフトバンク柳田らと同じ「A2」タイプと診断された。

「A2」は足のつま先外側に重心がかかり「体重移動よりも体の回転で打つ」タイプという。ただ、佐藤輝の場合、左足に体重が残り過ぎて、体が捕手側に倒れる悪癖が判明した。「確かにそういうふうになっているなと思いました」と佐藤輝。藤井康コーチは「そこがクリアになれば、もっとスムーズなスイングができる」と前向きに言った。

「4スタンス理論」提唱者で、藤井康コーチも学んだスポーツ整体師の広戸聡一氏は「A2」の理想に現ソフトバンク球団会長の王貞治氏を挙げた。「あの一本足打法が理想。真っすぐ足が上がって真っすぐ踏み込んで、大きな体重移動も力感もなく、その場できれいに回る」。最強の完成形を目指して課題に取り組んでいく。

佐藤輝は「1つの引き出しとして試したい。『打球が先生』と言われたので、そういうふうにやっていきたい」。鍵は体重移動と体の回転。冬の宿題ができた。【中野椋】

 

◆4スタンス理論 人間のスタンス(立ち方)はその身体的構造から重心が異なり、爪先側(A)とかかと側(B)、内側(1)と外側(2)でA1~B2の4タイプに分類され、それぞれに合う体の動かし方で最大限の力が出せるという考え方。ゴルフスイングの分析に用いられて話題になった。近年では20年ロッテの新人合同自主トレで、提唱者の広戸聡一氏の講義を受けた佐々木朗がエンゼルス大谷、楽天田中将と同じ「B2」に分類された。

 

◆あなたは誰のタイプ? 「4スタンス理論」提唱者の広戸聡一氏(60)が日刊スポーツの取材に応じ、誰でもできるタイプの見分け方を教えてくれた。

▼AかBを知ろう パソコンのキーボードをたたく時、あなたはどうしますか。爪と指の境目で上からたたくようにタイピングする人はAタイプ。爪が当たらず指の腹でたたく人はBタイプです。

▼1か2を知ろう コップやスマホを持つ際に、人さし指と中指をくっつけた方が持ちやすい人が1。薬指と中指をくっつけた方が持ちやすい人が2になります。

4つの分類を組み合わせて「A2」だったら佐藤輝明選手、「A1」だったらイチロー選手のタイプということになります。そこに優劣はありません。左利きか右利きかのように、生まれた時から決まっている特性です。あなたはどのタイプか当てはめてみてください。

 

▽阪神矢野燿大監督 テル(佐藤)も俺も同じA2タイプなんだけど。いい時はそうやって(前足に重心が乗って)振っていたんじゃないか。そこを知っているだけでちょっと違う。迷いがなくなるから。

 

▽阪神西純矢 もともとB2タイプと知っていたけど、あらためてチェックしたらB2だったんで、やっぱりなと。引き出しとして頭に入れていきたい。