阪神西純矢投手(20)が高卒3年目の大化けを狙う。25日に兵庫・西宮市内の球団施設で契約交渉に臨み、50万円増の1250万円でサインした。今季はプロ初勝利を挙げたが、2試合の登板に終わった。「高校四天王」と呼ばれたヤクルト奥川ら同学年の投手が活躍し、悔しいシーズンとなった。ソフトバンク千賀の投球フォームを参考に、来季1軍で10勝を目標に掲げた。

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50万円アップにも、笑顔はなかった。西純はプロ1勝を挙げたが、6月6日ソフトバンク戦を最後に1軍登板はなかった。「初勝利はできたけれど、優勝争いで貢献できなかった。悔しいシーズンだった」。日本シリーズの舞台では同学年のヤクルト奥川、オリックス宮城が躍動。「高校四天王」と言われたロッテ佐々木朗、チームメートの及川も1軍で活躍。悔しさを隠さなかった。

高卒3年目の飛躍へ、「来季は1軍で10勝したい」と目標を掲げた。同じ舞台に立つために、参考としているのが、ソフトバンク千賀の投球フォームだ。「右足の軸足の使い方であったり、トップに持ってくるまでの体重移動のところとかをよく見ています」と動画に目を凝らす。千賀が持つ天性の体のバネや股関節、膝、足首の力を爆発させるところなど、細かくチェックしている。

160キロ超の剛球とお化けフォークを駆使する千賀について「配球の面でもすごく勉強になります」と三振が欲しい場面で奪える投球も手本にする。「打たせて取るというのをキャンプから5月くらいまでやっていて、つまずいた時に、自分の魅力がなくなると気づくことができた。そこから空振りを取るということをテーマにやっています」。球速も140キロほどまで落ちていたが、153キロまで戻った。

秋季練習では矢野監督からのアドバイスもあり、これまでの2段モーションをやめた。テンポ、リズムのいい投球フォームへ改良中だ。千賀がお化けフォークで一躍有名になったのも高卒3年目で、先発転向した16年からは6年連続2桁勝利中。息の長い先発投手を目指す西純も、来季に本領を発揮する。【石橋隆雄】