25年ぶりの日本一には手が届かなかった。オリックス中嶋聡監督(52)は「負けたので悔しい。勝ちか負けか、どっちかしかない。そこで負けてしまったので。その責任は監督の責任です」とナインをかばった。

打線が7安打を放ちながら1点止まりで、前回頂点に立った神戸で終戦。当時の主力捕手だった指揮官が「神戸で決めたい気持ちもある」と思い描いた歓喜の再現はならなかった。

「(山本が)あれだけの投球をしてくれたのにね。援護点が取れなかった。本来なら、ゆっくりと勝ちの余韻に浸っているでしょうけど…難しいですよね」

2年連続最下位のチームを生まれ変わらせるため、中嶋監督が説き続けた「最後まで諦めない」姿は見せた。エース山本が1点を先行された直後の5回2死二塁、福田が詰まりながら左前へ落として同点に追い付いた。

ただ、追い越せなかった。「結果として認めるしかない。負けたのも、結果として受け取るしかない」。どん底から一気に日本シリーズまで駆け上がった1年。飛躍を果たしても中嶋監督は「まだまだ集大成といえるところじゃない。これからもっともっと成長していくチーム」と語った。全6戦が2点差以内で、5試合は1点差。紙一重の戦いで味わった悔しさをバネに、22年シーズンに向かう。

「選手のこれからの野球人生に良い方に向かっていけるような経験にしないといけない。発展途上のチームで、まだまだ足りない部分もある。ただ、諦めない姿勢はついてきた」

見据えるのは96年以来の日本一。「2月1日のキャンプインは変わらない。開幕日も決まっている。もう来年が始まっている」。悲願成就へ、手綱は緩めない。【真柴健】