一矢報いたけど…。阪神佐藤輝明内野手(23)が、完全試合を阻止する二塁打を放った。中日大野雄から9回まで1人の走者も出せず延長10回に突入。2死からチーム30人目の打者として打席に立ち、115球目を右中間にはじき返した。

「真っすぐがよかったので速い球に合わせていきました」。狙い通り、捉えたのは145キロ。中日ファンのため息と阪神ファンのメガホン音が入り交じる中、二塁ベース上で手をたたく。どんな局面でも1人で状況を打破できる、佐藤輝の個の力が際立った。

大野雄との相性は悪くない。プロ1年目の昨季は5打数2安打、打率4割、1本塁打。今季は初対戦の4月12日にアーチを放つなど、今試合も含め11打数4安打、打率3割6分4厘と打っている。だからこそ「正直、打ちミスで悔しい」と内野ゴロ3つに倒れた第3打席までが心に残る。「コンパクトにっていうのはコーチから言われてました。コントロールが良かった」。最後まで精度が落ちなかった相手左腕に脱帽した。

佐藤輝が作った唯一のチャンスを生かせず無得点。青柳の好投に応えられなかった。矢野監督は「(青柳の気持ちを)バッター陣がどれだけくんでやっていけるかというところもある」と打線に奮起を求めるしかなかった。チームは直近4試合で3得点で、うち2点が押し出し四球。「明日はしっかり打ちます」。佐藤輝はチームの思いを代弁するように言葉を残し、帰りのバスに乗り込んだ。【中野椋】

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