164センチ。中学3年生男子の平均身長より低い。その西武育成だった滝沢夏央内野手(18)が支配下登録を勝ち取った。13日、埼玉・所沢の球団施設で会見した。

球界最小兵の右投げ左打ちの内野手は、昨秋ドラフトで、関根学園(新潟)から育成2位で入団した。まだ高卒1年目の夏前。短期間で背番号は「126」の3ケタから脱し「62」に変わった。

「自分の体でしかできないプレーもある。それはスピードであったり、守備力は誰にも負けないという気持ちでやっている。身長で何度も悩まされたことあったこともあったのですが、これからは身長が関係ないというところを見せられるように。この身長でもできるというところ、夢や希望を与えられる選手になれるように頑張りたい」

支配下登録の知らせは前日12日の練習後に聞いたという。「まずびっくりした。だんだん時間がたつにつれてうれしい気持ちになった」と心境を語った。その上で「通過点だと思う」と表情を引き締める。目標の選手は源田だ。

足運びは機敏で、捕ってからも早い。正確かつスピード感あふれる守備は新人合同自主トレから極めて高い評価を受けていた。3月にはA班(1軍)の練習にも参加していた。

ショート、セカンドが主なポジションだが、「将来的にはどこでも守れる選手になることが目標の1つ」と思い描く。「どんな形でもチームの勝利に貢献できるようにしたい」と強調する。

持ち味の足は盗塁技術も備え、イースタン・リーグでは5盗塁。打撃も非凡な可能性を示していた。現在、64打数15安打の打率2割3分4厘。4月24日の試合終了時には打率3割2分6厘をマークしていた。

渡辺GMは「守備だけなら、1軍で守っても大丈夫。遅かれ、早かれ支配下があると思っていた。彼が1軍の試合でショートを守っている姿を想像するだけで楽しみ」と期待を膨らませた。【上田悠太】

◆滝沢夏央(たきざわ・なつお)2003年(平15)8月13日生まれ、新潟県上越市出身。野球は保育園時代に軟式で始め、中3で県選抜に選出。関根学園では内野手兼投手として1年春から1桁背番号を背負うも、甲子園出場なし。21年育成ドラフト2位で西武入団。今季2軍では出場23試合、15安打、0本塁打、2打点、5盗塁、打率2割3分4厘。164センチ、65キロ。右投げ左打ち。