明大が延長サヨナラ勝ちで立大との天王山を制し、6季ぶり41回目の優勝に輝いた。0-0のまま迎えた11回1死満塁、蓑尾海斗捕手(4年=日南学園)が右犠飛で決勝点を挙げた。全5カードで勝ち点を挙げる完全優勝を達成。コーチを経て20年から就任した田中武宏監督(61)は初優勝で、神宮の青空に舞った。全日本大学選手権(6月6日開幕、神宮ほか)に出場する。

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試合前日の夕方、田中監督は銀座に向かう。「野球は助監督やコーチ陣で、僕は何もやっていない。嫌なことを言うクソおやじ」と自虐的だが、誰よりもチームを、そして選手を思っている。

行く先は、パン店の木村屋。予約して買うのは、あんパンとカツカレーパン。いつも自腹で「(出費は)痛いですよ」と笑う。野球部を37年間率いた“御大”島岡吉郎監督時代、ここぞという試合の前に好物のあんパンを買いに行くのが、当時現役の田中監督の役目だった。自身が20年から監督となり、コーチ陣や村松主将、山田陸、蓑尾副将にパンを差し入れる伝統を復活。昨年は全員にあんパンだったが、今年は「勝つ」の験をかついで、選手幹部へ「カツカレーパン」を買ったところ、見事に全カードで勝ち点を挙げた。あんパンはもちろん、寮にある島岡監督の大きな写真の前に供えてある。【保坂恭子】