侍ジャパン栗山英樹監督(61)がミスターの金言に力を得た。来春WBCに向け、メンバー選考を考える立場。歴代の代表監督の語録などを振り返る中で、04年アテネ五輪監督の長嶋茂雄氏(86)が代表選考に関し「実績は関係ない。調子なんだ」と言ったことを知ったという。「アテネオリンピックの予選の時に言われた。今、結果を出せる人を選ぶんだっていう風に。本当に、その通りだなと。先輩方が教えてくれることを、しっかり守って考えていきます」。

選考の難しさを痛感している。今季もシーズンの半分を終えたが、来春のメンバーについては「正直、自分の中で白紙のまま、今日まで来るとは思わなかった」と話した。原因の1つは、球界全体が世代交代の時期にあると感じているからだ。これまでなら確実に代表に入ったであろう選手を、また選ぶべきなのか。「世界で勝ちきるっていう逆算でいけば、(選考を)無難な感じで行っても勝ちきらないんじゃないかという雰囲気もある。批判されるかも知れないけど、勝つためにやるだけ」と、先入観抜きの選考を心掛けている。

そんな時にミスターの言葉に出会い、励みになった。実績ではなく、力で選ぶ。近く、プロ野球の視察も開始するが「もう1回、丁寧に見直していく」と気を引き締めた。

2日は、神奈川・平塚で行われている大学代表合宿を訪問。次代のスター候補たちを「野球界全体が今、世代替わりしようとしている感じがします。みんな、自分が頑張るプラス野球界を背負うんだという、そのぐらいの思いを持って、みんなが成長してくれることを思ってます。3月のWBCに関しては、君らの世代は候補選手でもある。それを俺が取ってやるぐらいの、そんな思いで、ぜひ、この中から何人かと野球ができたら幸せなんでね」と激励した。【古川真弥】