世界野球ソフトボール連盟(WBSC)は7日(日本時間8日)、来年3月に予定される第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の大会日程を発表した。参加チームが16から20に拡大。日本は東京開催の1次、2次ラウンドを突破すれば、決勝ラウンド(準決勝以降)初開催となる米東海岸のフロリダまで遠路移動。決勝まで実質14日間で8試合をこなすハードスケジュールになる。エンゼルス大谷翔平投手(28)の参加も注目される中、厳しい環境を乗り越えての3大会ぶり優勝を狙う。

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侍ジャパンは2大会連続で4強止まりとなった前回より、さらに厳しい日程を強いられる。韓国、オーストラリア、中国、予選通過国と同じB組となった東京ドームの1次ラウンドは、3月9~13日の5日間で4試合の総当たり。15、16日にA組(台湾、オランダ、キューバ、イタリア、予選通過国)の上位2チームと2次ラウンド(準々決勝)を、同じく東京ドームで戦う。

大変なのはここからだ。日本から米東南端のフロリダ州マイアミ(球場はマーリンズ本拠地のローンデポ・パーク)に移動し、19日(日本時間20日)か20日(同21日)には「鬼門」の準決勝が控える。19日の場合は日付変更線を挟むために、実質的には中3日での試合。前回は2次ラウンドから実質中6日で準決勝を迎えた。しかも、球場は米西海岸のロサンゼルスだった。それでも敗れた。東部と西部の時差は3時間。日本から直行のチャーター機を飛ばしても、東京からロサンゼルスまでの約10時間より、5時間多い約15時間かかる。日本のコンディション調整は容易でない。

日本代表に入れば、超目玉となる大谷はフリーエージェント(FA)となる年で、現時点で大会参加は不透明だ。大事なシーズン前に日米を往復し、しかも異例の長距離移動を強いられる。ただでさえ投打二刀流で負担の大きい大谷に、所属球団が参加許可を出すかも懸念材料。日本ハムに所属していた前回17年は、メンバーに選ばれていながらも参加辞退となった。

決勝まで進めば、日本は13日間(実質14日間)で8試合を戦う予定。移動距離が延びた上に、前回は実質17日間で8試合(準決勝敗退で実質16日間の7試合終了)より厳しい日程だ。最難関の準決勝を突破し、3大会14年ぶりの決勝進出、優勝なるか。温暖なリゾート地で待ち構えるのは、オールMLBで固めた米国、ドミニカ共和国、ベネズエラなど。対戦相手の実力も格段に上がる。コロナ禍で2年間延期された大会では、タフさが試される。

◆韓国 左腕の柳賢振(ブルージェイズ)は左肘手術で不参加の見込みだが、金河成(パドレス)らメジャー選手が中心か。ダニング(レンジャーズ)ホワイト(ドジャース)エドマン(カージナルス)ら、韓国籍ではないが母が韓国系の現役メジャーにも参加を呼びかけるとみられる。

◆オーストラリア ニルソン監督は元中日のディンゴ。09年大会にチーム最年少メンバーだったヘンドリクス(ホワイトソックス)が参加するか。当時はマイナーリーガーも、今やMLBを代表する守護神。A・ウェルズ(オリオールズ)ホワイトフィールド(エンゼルス)ら現役メジャーも控える。

◆中国 MLBが無錫など3つの野球選手育成機関を国内に設立した。15年にOBの許桂源がオリオールズとマイナー契約し、第4回に出場するなど、結果に表れ始めている。チームはこれまで全大会に出場し、第2回では台湾に、第3回ではブラジルに勝っている。

 

<WBC過去4大会VTR>

◆第1回(06年=王貞治監督)1次リーグを2位で通過。2次リーグは誤審騒動の末、米国にサヨナラ負けするなど1勝2敗となったが、米国を失点率で上回り4強。準決勝で韓国、決勝でキューバを破り初代王者となった。MVPは3勝の松坂。

◆第2回(09年=原辰徳監督)敗者復活方式を採用した1、2ラウンドで日本は韓国と2度ずつ戦い4強進出。準決勝は松坂、田中、ダルビッシュらの継投で米国に勝利。決勝は韓国と5度目の対戦となり、イチローが延長10回、林昌勇から決勝の2点適時安打を放ち5-3で連覇達成。MVPは松坂が連続受賞。

◆第3回(13年=山本浩二監督)日本人大リーガーなしで参加。1次ラウンドはキューバに敗れ、3大会連続で2位通過。プエルトリコとの準決勝では先発前田健が5回1失点と好投も救援の能見が2点本塁打を浴び、8回の反撃は走塁ミスなどで1点止まり。1-3で敗れ3連覇を逃した。

◆第4回(17年=小久保裕紀監督)1、2次ラウンドを6戦全勝で突破。6試合で筒香、中田が各3本塁打を放つなどチーム計10本塁打をマークした。米国との準決勝では6回に菊池の本塁打で1-1の同点に追いつくも、8回に勝ち越しを許し1-2で惜敗。2大会連続で準決勝敗退となった。