次の50年、100年先の日本野球のために-。野球伝来150年プロアマ記念試合「U23NPB選抜-大学・社会人選抜」が学生野球の聖地、神宮球場で行われた。U23NPB選抜を率いたのは、侍ジャパン栗山英樹監督(61)。侍ジャパンのユニホームに袖を通し、昨年12月の代表監督就任後、初の実戦に臨んだ。先発には今季途中で投手に転向した中日根尾昂投手(22)を送り、初陣を飾った。

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初陣勝利の瞬間、栗山監督はコーチ陣と握手した。「若い選手たちが一生懸命やってくれていて、プロアマ超えて躍動する姿を見ると、野球に感謝です」と感慨深く切り出した。勝利より、若者たちが精いっぱい戦えた事実を喜んだ。

日本代表監督としての最大使命は、言うまでもなく来春WBCでの世界一奪還だ。同時に、日本の野球界をどう盛り上げていくかにも腐心する。少子化で競技人口の減少が叫ばれる中、「野球は過渡期に来ている」と口にする。代表監督が動けば注目を集める。侍ジャパンの公式行事以外にも、少年野球や女子野球の大会にも積極的に足を運ぶ。

その思いの延長線上に、記念試合もあった。指揮が決まると、各球団に有望株の出場を打診。当初は2軍選手中心だったが、中日根尾、ロッテ安田ら1軍でプレーする選手も集まった。その根尾を、先発に抜てき。二刀流の力もあると認める右腕の「背中を押してあげたい」。1回3者凡退に「能力が高いと証明してくれた」と目を細めた。

攻撃時だけでなく、守備時も三塁側ベンチの向かって左端に仁王立ちした。「監督は、どっしり座ってた方がいいけど、気になることが多いと立っちゃう」とゲームに没入した。日本ハムを率いた昨秋以来のタクト。全選手をケガなく起用するため、頭をフル回転した。「違和感、なかったです。ゲームの動き、選手の調子を見通す」と脳内はクリアだった。4安打の楽天黒川の「いつか侍ジャパンに」を聞いてうなずいた。

「先輩方が野球の歴史をつくってくださった。それを引き継いで、次の世代に伝えられるように」

未来の侍へとつながる一戦だった。【古川真弥】

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