オリックスに「村上世代」の新星が誕生した。17年育成ドラフト2位から7月28日に支配下登録された東晃平投手(22)が、本拠地初登板の日本ハム戦で初勝利。同じ17年1位の清宮が1番に座る打線を6回1死まで1点に抑え、チームに5年ぶりの日本ハム戦勝ち越しをもたらした。

3-1の9回。救援した同期の本田が1死満塁の大ピンチを招いた。それでも「いつも練習風景とか見てるし、すごいのはわかってるんで」と本田への信頼は揺るがなかった。近藤、清宮を連続三振に打ち取った同期生の力投を見届け、東は「あきらめずにやってきてよかった」と初勝利をかみしめた。

ヤクルト村上を筆頭に球界の新時代を築く世代。神戸弘陵時代は、兵庫県で西脇工・翁田(巨人・大勢)らとしのぎを削った。担当の谷口スカウトの目を奪ったのは、投手としての美しさ。フォーム、直球、変化球の球筋と、どれをとっても美しい投手だった。故障の多さが懸念材料だったが、球団は成長すればものになる素材と判断。育成枠での指名に踏み切った。19年は2軍で5勝とアピールも、20年は右肩と右肘を故障。育成契約の規約で3年目の20年、4年目の21年オフに自由契約になったが、球団は能力を信じ再契約。コーチ、トレーナーに支えられ、故障も乗り越えた。

もがいてきた過去を知る仲間は、守備でもり立てた。紅林、宗、安達らが好守を連発。4回は左翼-遊撃-捕手の中継で、一塁走者の本塁突入を阻止した。

勝利球は観戦の家族に。「野球を始めてから、ずっと練習に付き合ってくれました。おかげでプロになれました」。プロ1勝で、チームを3位に引き上げた。【堀まどか】

▽中嶋監督(2軍監督時代から育成を手がけた東の初勝利に)「普通にオーソドックスな投手というか。それに力強さが加わったらと思ってましたけど。僕が(オリックスに)来たときは、まだまだヒョロヒョロの体をしていて、頼りなさ満開やったけど。体も大きくなって、良くなってるなと思います」

▼17年育成ドラフト2位で入団したオリックス東が初勝利。オリックスの育成ドラフト入団選手で勝利投手になったのは、19年の榊原翼、張奕、21年の漆原大晟に次いで4人目。

◆東晃平(あずま・こうへい)1999年(平11)12月14日生まれ、兵庫県出身。神戸弘陵(兵庫)から17年育成ドラフト2位でオリックス入り。今季はウエスタン・リーグで9試合に登板し、1勝3敗、防御率3・98。7月28日に支配下登録され、同30日に1軍戦初先発を果たした。178センチ、83キロ。右投げ右打ち。

○…吉田正がチームの全得点をたたき出した。1点を追う初回2死二塁で日本ハム田中の150キロ速球を左翼スタンドに運ぶ、逆転の12号2ラン。7回には宮西からダメ押しの適時打を放ち、3点目を挙げた。「いい方向にいい角度で(打球が)上がってくれました」と逆転弾を振り返った吉田正は、「東に勝ちをつけられるように」と先発投手のプロ初勝利への援護の思いを込めて打ったことも明かした。試合後はともにお立ち台に上がり、ファンの歓声に応えた。

【関連記事】オリックスニュース一覧