ソフトバンクが「荷物遅延」のアクシデントを乗り越え、優勝マジック11を点灯させた。試合前練習を満足に行うことができず、打撃練習も取りやめる事態だったが、打線が15安打7得点で楽天を圧倒。故障禍やコロナ禍など、今季何度も苦境を克服してきたチームが、大混戦のパ・リーグを抜けだし、2年ぶりの歓喜へカウントダウンだ。

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今季、幾度となくピンチを乗り越えてきたソフトバンクが、正念場で底力を発揮した。11連戦まっただ中の移動試合で、バットやシューズの道具が試合前練習の時間に届かないというハプニング。打撃練習を取りやめるなど、緊急事態だったが、不安を一掃する打線爆発で快勝した。藤本博史監督(58)は「打撃練習せん方がええかもわからんね。みんなバット振れていたもん」と笑顔で振り返った。

チームが試合前練習を開始する午後3時半頃になっても、グラウンドには選手1人の姿もなかった。選手たちと別便で運ばれていた道具類が、空港での検査トラブルのため、到着が遅れていた。藤本監督は「疲れてるからちょうどいいんじゃないですか。なんでもプラス思考」。前向きにとらえ、練習時間が取れない代わりに、連戦や移動の疲労がたまった選手たちのリフレッシュを優先させた。

すると2回に中村晃の犠飛で1点を先制。3回には柳田の19号2ランが飛び出すなど、3点を追加した。5回と8回にも追加点。終わってみれば15安打7得点。試合前にフリー打撃どころか、ティー打撃すらできなかった打線が躍動。柳田は「たまにはこういうのもいいかなと。ネットフリックスを見て、リラックスしてました」と笑った。

ついに優勝へのマジックが点灯した。開幕8連勝スタートを切ったが、栗原ら故障者が続出。5月には首位チーム(楽天)に最大4ゲーム差をつけられた。6月末からは和田や甲斐、デスパイネらが新型コロナ陽性判定を受けて大量離脱。8月中旬にも柳田や中村晃、牧原大ら主力が大量離脱するコロナ禍に見舞われた。それでも「筑後ホークス」の若鷹と残った選手で耐え、苦境を乗り越えた。たくましくなったチームは、道具が届かないくらいでは動じない。大混戦のパ・リーグから抜け出し、2年ぶり歓喜へのカウントダウンが始まった。【山本大地】

▼ソフトバンクに優勝へのマジックナンバー11が点灯した。2位オリックスは、残り10試合に全勝で79勝62敗2分け、勝率5割6分。ソフトバンクは残り14試合でオリックスとの残り3試合に敗れても、他カードで11勝すれば80勝61敗2分け、勝率5割6分7厘で上回る。現日程での最短Vは23日。

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