BIGBOSSの公約の1つが、ほぼ実現する。日本ハム新庄剛志監督(50)が22日、今季未昇格だった五十幡亮汰外野手(23)を23日楽天戦(楽天生命パーク)から、ドラフト1位の達孝太投手(18)ら高卒新人3投手を25日楽天戦(札幌ドーム)で昇格させることを明言した。故障中のガントを除く支配下全選手が1軍でプレーする見通しとなり、監督就任時にファンと約束した内容が、ほぼ遂行されることになった。

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新庄監督はうれしそうだった。「よかった、よかった。早めに手術してほしいということを俺がね、言って。何とか9月にグラウンドに戻ってきてくれたらうれしいなと。で、戻ってきてくれた」と、全体練習が行われた楽天生命パークで出迎えたのは五十幡だ。

4月に受けた腰の手術を乗り越えて1軍に帰ってきた五十幡に、BIGBOSSは「『4番と2番どっちがいい?』って聞いたら『2番でお願いします』って。ちっちゃいな、言うて」と笑いながら、23日楽天戦は「2番中堅」でスタメン起用することを明言した。

待望のスピードスターの戦列復帰だが、慎重にリスタートさせる。「明日、とりあえず2打席くらい」と想定。「彼の足は何十年に1人の足だと思う。俺も足速かったけど、彼の足の回転を見ていたら、トムとジェリーのトムだもんね」という希有な存在だからこそ、まずは慣らし運転から始めさせる。さらに「石井君レフト。センター五十幡君。で、ライト中島君」という俊足トリオによる外野布陣も試す予定だ。五十幡も「思い切っていきたい」と、意気込んだ。

23日に五十幡が昇格すれば、野手陣は全員が1度は1軍を経験することになる。一方で、投手陣ではここまで未昇格だった高卒新人投手の達、畔柳、松浦について「25日かな」と1軍デビュー日を明言。本拠地での25日楽天戦で「達くん3回、(他の2人は)2回とか1回」と、達はプロ初先発、畔柳と松浦は中継ぎとしてプロ初登板を果たす見通しまで明かした。

これで、BIGBOSSが就任時に自身のツイッターで「僕と一緒に戦って行く選手全員を1回は、あの大歓声の1軍のグラウンドに立たせることを、ここで約束します」と発信した公約を、ほぼ実現する見通しが立った。そして、五十幡や達らがどんなアピールをするのか。最下位が確定した中で戦う残り7試合も、来季へ向けたサバイバルが熱く続く。【木下大輔】

◆五十幡亮汰(いそばた・りょうた)1998年(平10)11月27日、埼玉県生まれ。中学では「東京神宮リトルシニア」に所属。陸上短距離でも活躍し、中3の全国大会では男子100メートルの元日本記録保持者サニブラウンを抑えて100メートル、200メートルの2冠。佐野日大-中大を経て20年ドラフト2位で日本ハム入団。1年目の21年シーズンは27試合に出場し打率2割2分5厘、1本塁打、5打点、9盗塁(盗塁死1)の成績を残した。171センチ、67キロ。右投げ左打ち。今季年俸1150万円(推定)。

○…初の首位打者を狙う松本剛は、本拠地・札幌ドームでシーズン規定打席に到達する見通しとなった。新庄監督は「明日は使わない」と、23日楽天戦はスタメンから外すことを明かした。規定までは残り4打席。24日以降の本拠地ラスト5連戦中にクリアできそうだ。BIGBOSSは「(オリックス)吉田くんが追い付いてきてほしい。(見ている)俺が面白い。本人(松本剛)はドキドキやけど」と、最後までハラハラドキドキのタイトル争い? にも期待していた。

○…根本が“4度目の正直”で今季目標に掲げた3勝目を目指す。23日楽天戦に先発する左腕は「中7日でしっかり時間をもらって、自分的にもいい調整ができたと思います」と、万全を強調。8月7日オリックス戦で2勝目を挙げて以降は、3度先発して好投もあったが白星に恵まれず。「投げられても、あと1回か2回しかない。何とか1勝したい」と意気込んだ。