一番のポイントは、「現役ドラフト」が実を伴ったものになるかだ。懸念されるのは、本来なら戦力外の選手を現役ドラフト用に取っておく事態が頻発することだろう。つまり、各球団で不要な選手を入れ替えるだけとなれば、移籍先でもプレーの機会は、ほとんどないままと予想される。「出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化する」という理念は有名無実となる。

制度上の工夫はされている。詳細は未発表だが、他球団からの指名希望の総数をもっとも集めた球団が、最初に指名できる仕組みだという。より人気のある選手を出した球団が有利となる。それでも、仮にそういう球団が1球団だけだったら、その球団への希望が殺到し指名順位がたとえ1番目となっても、他11球団に取りたい選手がいないということに。新制度は機能しなくなる。

各球団が用意する対象選手が「2人以上」というのはカギとなりそうだ。2人とも本来戦力外だった選手とすると、1人はそのまま自球団に残るケースも出てきて、貴重な枠を使うことになる。やはり、各球団が「うちでは出場機会が限られるが、環境を変えれば戦力になり得る」と考える選手を真剣に選ぶことが求められる。NPB選手関係委員会の委員長を務める広島鈴木球団本部長が「戦力外の選手を選ぶわけではなく、契約した選手。それ相応の選手を選んでいく」と言ったのは朗報だ。

選手側も務めを負う。移籍した選手が活躍して初めて、現役ドラフトは成功したと言えるからだ。正直どうなるかは、実際にやってみないと分からない点が多いと考える。ただ、球団側も新戦力発掘の機会になり得るわけで、選手と双方にとって、より良い制度にしていってほしい。【NPB担当 古川真弥】