第3回WBCで日本代表監督を務めた山本浩二氏(76)が、栗山英樹監督へ貴重なエールを送った。

23日、東京ドームにある野球殿堂博物館でWBC企画展「侍ジャパン、世界一への挑戦」が開始。内覧会に出席し「栗山監督はパ・リーグの監督でダルビッシュも大谷も一緒にやって気心を知れているでしょうし、大舞台も慣れているでしょうから、思い切ったプレー、思い通りに作戦をしてほしい。その中で選手の見極めが大事になってくる」と話した。実際にはダルビッシュとは日本ハムで入れ違えだが、同じ球団のOBであることから、絆に期待した。

第1、2回大会の優勝トロフィーの前でしばらく立ち止まった。「見たことなかったから。これ以上言わさないで」と冗談めかして笑った。指揮を執った第3回大会は、準決勝でプエルトリコ代表に敗れた。3点を追う8回、1点を返してなお1死一、二塁。4番阿部慎之助の打席で二走・井端弘和、一走・内川聖一で仕掛けた重盗が失敗。井端はスタートを切りかけて直後に止まったが、内川は走ってしまった。この逸機が最後まで響き、追い付くことができなかった。

この作戦について山本氏は「あれも失敗はしたけど、作戦的には全然間違っていないと思う」と振り返った。「事前の準備をみんなでやって。たまたまちょっとスタートが遅れたけど。全く失敗と思っていない。こういうことをやっていかないと勝てないと。成功していればどうなったか分からないわけだから」。今でも後悔はないとした。

経験を踏まえて、細かい野球の徹底を期待した。「やっぱり、先の塁を狙う走塁というのは、今のメンバーはみんな全部分かっていますよ。ただ、打つだけじゃなく、いろんなものを含めてね。一流選手ばかりですから。それでも口を酸っぱくして、おそらくミーティングはやっているでしょう」。メジャーリーガー5人を含む、スター軍団での意識統一を願った。

戦力は充実しているが、1次ラウンドから簡単な試合はないと力説した。「今年のチームを見れば、誰がヒーローになってもおかしくない。大谷もダルビッシュもスーパースターが来ている。鈴木誠也もそうだし。メジャー組と日本のトップクラスが集まることはなかなかない。皆さんは世界一を当然期待するでしょうが、そんなに簡単じゃないとは、栗山監督にもそういう話はした。みんな名前通り、調子がいいということはない。そこをどう戦うか。ただ、メンバー的にはすごい。これを預かるとなれば、栗山監督はけがをしてほしくないとか、そっちを気にするでしょうね」。13年大会は1次ラウンドのブラジル戦、台湾戦が逆転勝ちだった。身をもって大変さを知るだけに、昨年のうちに栗山監督には言葉を伝えてあったという。

展示は23日から4月23日まで。「みんな来たら大変だね。野球ファンだったら各選手のいろんなスパイクとか貴重なあれになるやろね」と話した。