異色の〝世界一対談〟が実現しました。

WBC制覇に挑む侍ジャパン栗山英樹監督が、代表のオフィシャルスーツパートナー「UNIQLO」を展開するファーストリテイリングの東京・有明本部を訪問。同社の柳井正代表取締役会長兼社長と語り合いました。アパレル業界と野球界。フィールドは異なりますが、ともに世界一を目指す2人の対談は1月11日に行われました。

熱のこもった1時間を【大谷翔平論】【リーダー論】【組織論】の3部に編集。のノーカット版でお楽しみください。

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 栗山監督(以下、栗山) 世界一に向かって行くにあたって、社長からすると「まだ世界一じゃねえんだ」(※)と言うかもしれないですけど、日本の方で、ここまで世界と勝負できるという社長に、戦う前に、世界一になるには何が必要なのかとか、それを教えていただきたくて。(対談の)オファーは出しましたけど、OKが出るとは。正直、会ってもらえないと思ってたんで。

※ファーストリテイリングは22年8月期決算で2兆3011億円の売上高を達成。アパレル小売り会社ではインディテックス、H&Mに次ぐ世界3位。

 柳井会長兼社長(以下、柳井) そうじゃなくて、僕は反対にね、ファンの代表です。(WBCは)世界選手権でしょう。サッカーで言えばワールドカップだけど、日本は野球にもファンがすごく多いですよね。ファンが多いですよね。あらゆる年代通じてファンが多くて、そこで反対に、いろんなこと、聞いてみたいなと思ったんですけど。

 栗山 すいません。

 柳井 僕は、うちの社員とか、今から入社してくる人に全部、言うんですけどね。人生って有限でしょう。野球という道に志したわけですよね。僕は洋服屋。服屋という道に志して、行き着けるところまで行きたいなという。

 栗山 あー、はい。

 柳井 メジャーリーグ行く人は、みんなそうですよね。日本のプロ野球だったら、やるべきことは全部やったから。イチローさんなんか、一番そうだと思うんですけどね。でも、大谷は、もっとすごいなあと思うのは、前人未到のことをやっている。だから、そういう選手が今ほどたくさんいる時期はなくて、その選手が大活躍できる、この舞台でやってもらいたいなあというふうに思ってるし。

で、僕は今ね。日本はすごく閉塞(へいそく)感がありますよね。閉塞感がある中で、それをね、WBCでね、突き破ってもらいたいな、っていうふうに思ってますし。それで、皆さんに勇気を与えてもらいたいなと。

「たとえ勝てなくても」というふうに考えずに、僕は「絶対勝つんだ」ということが絶対必要だと思うし。で、個の力と全体の力。個の力が今ほど強い時期はなくて。全体も、頭がいい選手がすごく多いですよね。で、超一流の選手は絶対に頭が良くないとなれないですよ。体力だけじゃ、ダメですよね。一瞬の判断力みたいなのがあって、監督の役割は、その一瞬の判断力がいかに実現できるか。

大筋で間違わないように。みんなが、あるいは1人が違う方向行ったら「これ、違うんじゃないですか」ということを言うことで。後は、自覚した選手だったら、その人が自分で努力していくということじゃないんですかね。

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取材者としての経験も豊富な栗山監督は、傾聴力を発揮し、自らの肥やしとしたいコアを聞き出していく。テーマが多岐に揺れながら、結局は大谷翔平という横串に帰結する。柳井会長が自らのフィールドに落とし込み、その資質を絶賛する。

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