明大は投打がかみ合って6-3で早大に勝利し、2連勝で同大にとって戦後初のリーグ3連覇を決めた。初回、主将の上田希由翔(きゅうと)内野手(4年=愛知産大三河)の適時打などで3点を先制。3人の継投でリードを守り、戦前の37~38年に4連覇を達成して以来、85年ぶりとなる3季連続43度目の優勝を飾った。全日本大学選手権(6月5日開幕、神宮ほか)に出場する。慶大は栗林泰三外野手(4年=桐蔭学園)の3本の二塁打などで6-3で立大に先勝した。

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朝起きた明大・田中武宏監督(62)が島岡寮の自室を出ると、練習をする音が聞こえてきた。時刻はまだ午前6時前。隣接するグラウンドには、元巨人、福王昭仁コーチ(59)のノックを受ける上田や宗山塁内野手(3年=広陵)ら主力選手たちがいた。

今春リーグの開幕戦(4月8日)は、東大と延長戦の末に3-2で辛勝。試合後のミーティングには、口をはさまなかった。一夜明けて2戦目の朝、午前5時過ぎから選手たちは体を動かしていた。「選手たちは、何も言わなくても分かってますから」。開幕カードから勝ち点を落とさずに、優勝を迎えた。

この春、ベンチから戦況を見る監督の表情が柔らかく見えた。時折、白い歯がこぼれる。「選手たちがね、次は何をやるんだろうって思うんです。予想してないことをやったりしますからね」。4月9日東大戦は、途中出場の菅原謙伸捕手(4年=花咲徳栄)が決勝打。5月13日早大戦では、初スタメンの今井英寿外野手(2年=松商学園)が4打点と活躍。この日は、抜てきした杉崎が3打点と日替わりヒーローが生まれた。「去年よりもメンバーを選ぶ難しさは本当に悩ましかった。いろんな選手が出てきたので、チーム力として成長したなと」。信頼する選手を、自信を持ってグラウンドに送り出している。【保坂恭子】