ともに負ければ優勝が消滅する一戦。1敗で迎えた首位関大は、がけっぷちから引き分けに持ち込んだ。今季はタイブレークなしの延長12回打ち切り制が採用されている。22日の3回戦で仕切り直しする。

陰のヒーローは7回のピンチから左翼に入っていた三杉彪真(ひょうま)外野手(4年=関大北陽)だった。延長11回裏1死一、二塁の守備。1点取られた時点で優勝が消滅する厳しい場面で、左前打に対して三杉は鋭くチャージをかけ、ノーバウンドで矢のような本塁返球。有馬諒捕手(4年=近江)が落ち着いてタッチアウトにした。サヨナラ負けを寸前で防ぐビッグプレーだった。

「二塁走者の足が速いのは分かっていたし、焦らないよう落ち着いて、思い切り投げました。今まで刺してきた中でも、一番のバックホームだったと思います。なんとか首の皮一枚つながったので、優勝できるように貢献していきたい」

高校時代から絶対の自信を持っているという守備職人は喜んだ。

投手陣は12回にわたって15安打4四球を許しながら、3回の2点だけに封じた。エース金丸夢斗投手(3年=神港橘)がシーズン中盤に右膝を痛めて離脱。この日も5投手の継投で、一丸となって必死に防戦した。延長の3イニングは主戦格の岩井将吾投手(3年=高田商)が無失点で切り抜けた。

早瀬万豊監督(64)は三杉の好返球に「素晴らしい。一番大事なところで抜群のボールを投げてくれた」と絶賛した。「しのいで、しのいで。本当に守りにかけるエネルギーばかりだったけど、よく粘ってくれた。明日、いいことが起こりそうな気がします」と底力発揮を予感した。負ければ終わりの戦いは22日も変わらない。【柏原誠】