<中日3-4DeNA>◇5日◇ナゴヤドーム

 ドアラは死んでいなかった-。左手中指を骨折し、得意のバック転を封印していた中日の人気マスコット・ドアラが医師の制止を振り切って故障後初めて臨んだ恒例のバック転を成功させた。それもひねりを加えた難易度の高いワザ。今季このワザの成功はほとんどなかったが、奇跡的ともいえる結末で復帰とともにシーズン有終の美を飾った。

 いつどんな時もまったく表情を変えない(変わらない)ためよく分からないが、伝わってくる雰囲気は鬼気迫るものがあった。

 試合前には「実は医師からは本当は完治していないけども、最終戦ということで許可をもらいました。状態は万全ということではありませんが、自分のできる限りのことをしたい」と悲壮なコメントを残していた。

 けがの功名といっては失礼かもしれないが、大喜びした。実は助走からの踏み切り時、両手を地面に着く際に患部に負担のかからないような新フォームを模索し、身に着けていた。日々精進。ドアラは、やはりスターだった。

 成功後は「マジうれしい!山崎さんのために決められてよかったです。ひねったかいがありました」。主役の座は引退試合のベテラン山崎武司内野手(44)に譲り、喜びのコメントを出した。