元巨人球団代表兼GMの清武英利氏(63)の解任を巡る訴訟で、同氏と、渡辺恒雄球団会長(88)の証人尋問が5日、東京地裁で行われた。

 2011年11月11日、清武氏は会見を開き、コーチ人事に関する渡辺会長の発言など内幕を公表。自身の解任は不当だと主張している。

 巨人側は、この会見が清武氏の独断で行われた上、重要な秘密情報を暴露して損害を与えたと主張している。

 午前10時10分、清武氏と渡辺会長、同じく証人として尋問に出席した桃井恒和球団社長(67)が並んで法廷に立ち、虚偽の発言をしないなどの宣誓を行った。

 渡辺会長の主尋問は、午前11時25分から始まった。ペットボトルのお茶を飲み、つえを使わず、確かな足取りで証言台に向かった。主尋問は1時間行われた。渡辺会長の声量は終始大きく、非常に聞き取りやすかった。

 尋問の中で新たな事実が明らかになった。清武氏が会見を行った11年11月11日当日の朝、渡辺会長との間で行われた電話のやりとりが残されていた。清武氏が録音し、シンガポール在住の女性(現在は清武氏と結婚)のパソコンに、音声ファイルが存在していた。本件とは別の、動産引渡請求事件に関する調べの中で発見された。

 渡辺会長は「彼が、意図的に、電話の内容を録音していた。“かくしどり”していた。猫なで声で『ありがとうございます』と、2回、言っている。引っ掛け、二重人格でないか、という印象を持たざるを得ない」と述べた。

 午後は、渡辺会長への反対尋問、清武氏への主尋問、反対尋問が行われる。