スターになるには「○○っす」はやめましょう-。プロ野球の新人選手研修会が3日、都内のホテルで行われ、日本ハム高校生ドラフト1巡目の中田翔内野手(18=大阪桐蔭)ら86選手が参加。中田は、マスコミ対応の講義で「声が小さい」など厳しく指摘され、講義終了後には「○○っす」という口癖をやめるように「ダメ出し」された。合格点をもらったヤクルト佐藤由規投手(18=仙台育英)との6日のオープン戦(札幌ドーム)での対戦前に、この日は“完敗”を喫した。

 そのしゃべり方はアウトっす!

 マスコミ対応の講師を務めた元ニッポン放送アナウンサーの深沢弘氏(72)が、講義終了後、中田のトレードマークを一刀両断した。「『○○っす』という話し方は注意しないといけない。高校の運動部ではないのだし、言葉の品格というものがある」。真剣な表情で、怪物に苦言を呈した。

 「○○っす」は中田が自主トレ中から使ってきた、口癖のようなもの。新聞や雑誌にも取り上げられ、先輩選手やファンの間にも定着してきている。だが話のプロは、そんな個性も黙って見過ごすわけにいかなかった。

 一方中田は「『○○っす』って敬語じゃないんですか?」と真顔でキョトンとした。これまで自信を持って使ってきた言葉をダメだしされ、目を白黒させた。

 講義内ではヨシ君に完敗した。インタビューを受ける実習で、セ代表のヤクルト由規とともにパ代表として壇に上った。深沢氏から「インタビューたくさんされるでしょう。同じ質問ばかりでまたか、と思いませんか」と聞かれると、由規は「正直、またかと思うことはありますが、プロとしての仕事なのでプラスと考えています。それほど苦だとは思いません」と答えて◎。深沢氏は「1つ質問するとプラスアルファを考えて答えてくる。文句なしだ」と合格点の評価。

 だが、中田は「(インタビューに)時々嫌な顔をするよね」と、ふられると中田は「はい」とひと言だけ。中田はその後も「声が小さい」「マイクはそんなに近づけなくていい」と苦言を連発されてしまった。

 6日のオープン戦ではヨシ君と直接対決が予定されているが、深沢氏は「今日はワンサイドゲームだったね。まっすぐを見逃しの三振だ」とバッサリ。中田も「自分よりも(由規は)声が出ていたし、自分はちょっとダメだったです。勉強になりました」と認めた。これもすべてはスターとして注目されるがゆえの厳しい道のり…。

 この日夜、昨年12月の入団発表以来、札幌に入った。本番は由規との初対決で勝つことだ。「変化球に合わせて、それをきれいに打つより、真っすぐを打ち返した方がいい」。中田の本領はグラウンドでこそ発揮される。「やられたっす」とならないよう、バットでのリベンジを狙っていた。【本間翼】