<オープン戦:中日4-2巨人>◇5日◇ナゴヤドーム

 中日3年目の吉見一起投手(23)が5日、宿敵巨人とのオープン戦で5回7安打無失点と好投し、開幕ローテーション入りをアピールした。毎回走者を背負ったが、オフにドミニカ教育リーグで学んだ「がむしゃら」な投球で要所をピシャリ。バットを4本折るなど、キレのよさを見せつけた。チーム内競争が激しさを増す中、首脳陣に存在感を植え付けた。

 3年目の吉見が、巨人打線を翻ろうだ。初回2死二塁。ラミレスのバットを140キロのシュートでへし折り、投ゴロに仕留めた。2回には小田嶋、5回には村田善、脇谷にも厳しいコースを突き、バットをボキリ…。「去年と違って、今年は抑えたら自信になると思って投げている」。毎回走者を背負うなど7安打を浴びたが、要所を締め無四球で無失点。4本の“バット狩り”が、今年にかける意気込みの象徴だった。

 昨年0勝だが、オフのドミニカ共和国留学で生まれ変わった。最大の収穫は、激しい競争社会で目の当たりにしたハングリー精神。「外国人選手は手を抜くようなイメージもあったけど、みんな一塁まで全力疾走。必死にアピールしていた」。スカウトの目にとまればメジャーリーグへの道筋が開け、ダメなら貧乏生活。サバイバルを体感し、刺激を受けた。ピンチほど燃える精神力が身についた。

 開幕ローテ入りをアピールした。川上、朝倉、中田、山井、小笠原は確定的。残り1枠をチェン、山本昌、川井らと争っている。競争激化は必至だが、最大のライバルとなる巨人を抑えたことは大きな要素。森バッテリーチーフコーチは「結果を出すのは大事なこと」と合格点をつけた。

 昨オフに聡子夫人(24)との結婚を発表し、自覚もできた。今年のテーマを「がむしゃら」と掲げた吉見が、先発争いに割って入る。【村野

 森】