<オープン戦:中日2-0楽天>◇8日◇ナゴヤドーム

 中日中田賢一投手(25)が8日、楽天とのオープン戦(ナゴヤドーーム)で4回2安打無失点と好投した。「暴れ馬」と形容されたバワー全開投法ではなく、スピード控えめ、制球重視のオトナの投球を披露。6度の3ボール機を四球なしで切り抜け「仮想巨人ラミレス」のフェルナンデス、「仮想阪神新井」の山崎武をいずれも無安打に抑え込んだ。巨人、阪神との優勝争いが予想される中、ひと皮向けた「TGキラー」が存在感を見せつけた。

 中田が「仮想ラミレス」を仕留めた。楽天4番フェルナンデスの第1打席は140キロ直球で一邪飛。第2打席は4回無死一、二塁のピンチ。カウント1-3から内角高めに139キロ直球を投げ込み空振り三振。2打数無安打に封じ込めた。

 中田

 これまでは(ヤクルト時代の)ラミレスにいいところに投げた変化球をうまく右にもっていかれたイメージがある。セカンドの頭を超えたり。対戦する時はインコースのストレートで勝負します。

 お次は昨季パ・リーグ本塁打、打点の2冠王に輝いた5番山崎武。阪神にFA加入した新井を想定するには、絶好のスラッガーだ。第1打席は139キロ直球で一ゴロ。第2打席は攻め方を変え、3球連続で変化球。カウント1-1から左飛に打ち取り、こちらも2タコに抑えた。

 中田

 (広島時代の)新井さんには大きいのを打たれないようにしたい。昨年は高めに浮いたカーブとかを打たれましたから。スライダーかカーブをしっかりと低め低めに集めていきたい。

 昨季はチームトップの14勝を挙げたが、TGキラーとしても名を上げた。ポストシーズンを含め巨人に4戦4勝、阪神に3勝1敗。今季も同様の活躍をすることが連続日本一へのカギになる。「巨人はすごいことになった。気を抜くところがない。上原さんが先発でグライシンガーさんもいる。点を取らせちゃいけない」。ライバルの前に立ちはだかるべく、今から新加入選手の対策を思い描いている。

 この日は、まさにオトナの投球だった。最速142キロ止まりだったが、制球重視でピンチを脱した。打者15人に対し3ボールが6度あったが「しっかり狙って大事にいった」と四球ゼロ。「いいときと悪いときがはっきりしている」と言われた昨年と違い、不調でも無失点に抑えた。2日日本ハム戦とあわせオープン戦通算6回無失点となった。

 それでも中田は満足しなかった。交代後はブルペンに直行して直球を40球を投げた。「今日は結果だけで内容に納得していない。全体的にもっとまとめていきたい」。謙虚にレベルアップを目指す25歳右腕が、今季も巨人、阪神をなで切りする。【益田一弘】