<ソフトバンク2-1ロッテ>◇25日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンク本多がバットを砕きながら決勝点をもぎ取った。井手の適時打で同点とした7回。2死一、三塁からロッテ川崎の外角スライダーを右前へ運んだ。「緊張感の中でああいうふうに打てたのは、これからの中でかなりの収穫」。5回の第3打席で同点スクイズに失敗。今季初打点が決勝点となる一打に白い歯をニッとのぞかせる笑みが戻った。

 開幕から5試合連続で5安打。ただ、ここ3試合では6三振と悩んでいた。「タイミングの取り方、球の見極めができなくて不安でした」。右肩違和感のため調整が遅れ、オープン戦出場ゼロのまま開幕直前に合流した影響だった。打席で自分の感覚をつかめずにいたが「いろいろ悩んでいたので、あのチャンスの中で打てて悩みも解消です」。

 開幕前の故障は自主トレ中のハードワークが原因とみられる。現在は再発防止のため試合前後30分ずつ、肩のストレッチを欠かさない。昨年まであまり気にかけなかった“商売道具”のメンテナンス。右肩で荷物を持たず、頭上にある物を取る動作も控え、全試合出場へと準備を怠らない。

 84年11月19日。くしくも同じ日に生まれた大隣の初完投勝利をアシストしたことも喜んだ。「そういう思い(同じ誕生日)を試合中に思えば、どうにかしてやろうと」。野手陣は開幕から無失策を継続している。レギュラー定着2年目。本多が上昇気流に乗るきっかけをつかんだ。【押谷謙爾】