<阪神4-3横浜>◇29日◇京セラドーム大阪

 阪神の3年目左腕、岩田稔投手(24)が、横浜戦でプロ初勝利を飾った。6回を6安打1失点。「あきらめない」生きざまを表す108球だった。

 1点リードで迎えた3回。2死満塁のピンチで佐伯に0-3。「開き直って『打てるもんなら打ってみろ』という気持ちでした」。そこからストレート3球で空振り三振に切った。

 7年前の冬、大阪桐蔭高2年のときに「1型糖尿病」を発症。1度は野球をあきらめた。だが、入院中、毎日、同校野球部の西谷浩一監督が、練習後にユニホーム姿で見舞いにきた。ダンベルを持ってやってきて「これで練習しておけ!」。その言葉に心が弾んだ。今でも1日4度の注射は欠かさないが「頑張ればできるんだということを伝えたい」という。

 プロでは2年勝てなかった。昨季は7月28日横浜戦(甲子園)で5回2死までこぎつけながら内野安打や四球を連発して自滅。「(その失敗を)絶対に忘れないようにしています」。この日、勝利投手の権利を得る5回は3者凡退。守護神藤川から手渡されたウイニングボールは昨年結婚した美佳夫人に渡す。