<ソフトバンク0-6日本ハム>◇1日◇福岡ヤフードーム

 ボディーブローのように、コツコツとダメージを与えた。日本ハム梨田監督が緊迫した投手戦を、我慢、我慢の「牛歩戦術」でモノにした。武田勝、ソフトバンク新垣が6回まで0‐0の投げ合い。7回に決勝点を奪った。実は1点が勝負を分ける接戦を制す伏線は、その前の2イニングだった。5、6回とともに先頭打者が出塁。続く打者は犠打と手堅く送り、いずれも走者を三塁まで進めた。

 昨季、日本新記録の25暴投の新垣にとってはミスを犯せば1点という、厳しい場面を作った。精神的に追い詰めた。梨田監督は「嫌がっていたね。効果的にいけた」。同じ決め球の1つ、フォークを投げづらくさせ、打者に配球を読みやすくする相乗効果もある。得点はいずれも挙げられなかったが、心を疲弊させるには十分だった。

 緊張の糸が決壊したのは7回。先頭打者のスレッジが二塁打で出塁。代走に俊足の紺田を投入した。この日は5番だったが、主砲を0‐0の場面で交代させ1点を奪いにいった。稲田が抜けたカットボールをとらえ、先制の決勝適時打。終盤3イニングで一挙6得点のワンサイドゲームへ持ち込んだ。計5犠打。「うちのチームは、基本的にバントがうまい」。梨田監督が要所で選手に託した信頼が、首位ソフトバンクの豪快KOにつながった。【高山通史】