<阪神5-1広島>◇16日◇甲子園

 首位を独走する阪神の貯金が早くも「10」に達した。金本知憲外野手(40)新井貴浩内野手(31)の“義兄弟”コンビが4試合連続のW打点で打線を引っ張り、下柳剛投手(39)が2年半ぶりの完投勝利で開幕3連勝とした。

 これぞ“義兄弟”のきずなだ。アニキが打って、弟分が黙っているはずがない。阪神新井、金本の3・4番コンビがこの日も暴れた。ともに4試合連続となるアベック打点をマークし、38年以来70年ぶりとなる開幕から6カード連続の勝ち越しの原動力となった。

 まずは金本だ。先発下柳が先制ソロを浴びた直後の1回裏2死一塁。広島先発宮崎の外角高めの直球を左中間に運んだ。「甘い球だったからね」。金本の肉体を医学的にサポートしている京都府立医科大の吉川敏一教授がスタンドで見守る中、二塁打でしっかり恩返し。新井が本塁まで走り、すぐに同点に追いついた。

 勝ち越し打は3回、新井のバットから飛び出した。1死一、三塁から内角高めを詰まりながらも左前へ。「いつも通りランナーを返そうと思って気合を入れて打席に入りました。しっかり読みも当たりましたね」。前回、執ような内角攻めに遭った宮崎から、狙い通り内角打ちの決勝打を放った。

 金本が「勝てるときに勝っていかんとな」と言えば、新井は「僕はとにかく一生懸命やってるんで。チームの雰囲気がいいのはもちろん感じてます」と謙虚に答える。これで2人がともに打点を挙げた試合は7連勝。チームの貯金も「10」に到達した。

 頼れる2人に慢心はない。金本は「気を抜いたらあかんよ」と気を引き締め、新井も「それはそれでうれしいですが、また明日も試合がある」と言った。広島時代から深いきずなで結ばれたコンビが、互いのバットで不敗神話を守り続ける。【福岡吉央】